ファナックの「FIELD system」は2016年4月にファナックとシスコシステムズ、ロックウェル・オートメーション、Preferred Networks(PFN)の4社で開発を発表。その後、2016年7月にNTT、NTTコミュニケーションズ、NTTデータというNTTグループ3社が加わり、7社を主要メンバーとして基盤開発を進めている。2017年10月から運用を開始し、徐々にサービスの拡大を進めているところだ。
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「FIELD system」は「エッジヘビー(現場重視)」の姿勢で、見える化だけでなく自動制御までを含めて実行力の高い情報基盤を目指しているところが特徴だ。2018年10月の講演でファナック代表取締役会長兼CEOの稲葉善治氏は「『つなぐ』『見える』『考える』の次にくるのは『動かす』である。自動制御を担うということだ。『高効率に動かす』『高精度に動かす』『安全に動かす』『熟練者のように動かす』などを実現したい。これにより真のスマートファクトリーが実現することになる」と考えを述べている※)。
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「エッジクロス」は、アドバンテック、オムロン、NEC、日本IBM、日本オラクル、三菱電機の6社が幹事会社となって設立した「エッジクロスコンソーシアム」により開発された。エッジクロスコンソーシアムには2018年2月に日立製作所も幹事会社に加わっている。エッジクロスは、これらの企業を中心とし、エッジ領域の情報処理「エッジコンピューティング」の共通基盤ソフトウェアとして開発された。2018年4月には「エッジクロス基本ソフトウェア」の販売と、販売支援を行う「エッジクロスマーケットプレース」が開始された。
2018年10月の時点で既にエッジクロスコンソーシアムには200社以上が既に加盟しており、基本ソフトウェアの販売も900ライセンスを突破。普及は順調だとしている。エッジクロスはまさにFAとITのデータ連携を容易に行うということ重視しており、まずは「つながる工場」を実現するために最低限必要となる協調領域を表に出して、「つながる工場」で本当の価値を得るために、効率化を進めるという思想が特徴だ※)。
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シーメンスの「マインドスフィア」は2016年にサービスを開始。マインドスフィアはPaaS(Platform as a Service)であり、さまざまなアプリケーションを同プラットフォーム上から提供できる1種のデジタルサービス基盤である。もともとはSAPのクラウドサービスをIaaS(Infrastructure as a Service)として、組み合わせた開発を勧めてきたが、AWSやマイクロソフトの「Azure」などにも対応した。
シーメンスでは現場情報を収集する仕組みとしては「TIA(Totally Integrated Automation)ポータル」を用意しており、これらの組み合わせることで、製造現場からデジタルサービスまでを一元化できる点が特徴である※)。
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製造業向けではこれらのIoT基盤などが注目されているが、コネクテッドデバイスからの情報収集としては「ThingWorx」なども多くの製造業で利用されている。その他にも業務や業種、工程などに合わせて、さまざまな粒度やレイヤーでのIoTプラットフォームが存在する。さらにいえば、これらのさまざまなIoTプラットフォームもクラウドで活用する場合は、AWSやMicrosoft Azureなどをインフラとして利用している場合がほとんどである。どういうプラットフォームをどう活用しているのかというのが、製造業側から見るとよく分からない状況になっているかもしれない。
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