日立金属は、高耐食ニッケル基合金「MAT21」を用いた金属積層造形に成功した。高い耐食性が要求される部材のニアネットシェイプでの提供が可能となり、信頼性向上や長寿命化、低コスト化が期待できる。
日立金属は2018年11月27日、高耐食ニッケル基合金「MAT21」を用いた金属積層造形(金属3Dプリン)に成功したと発表した。MAT21の金属粉末化と、それを用いた金属積層造形のプロセス条件の発見および造形に成功した。
MAT21は、クロム、モリブデン、タンタルを添加することで、耐食性を高めたニッケル基合金だ。加工難度が高く、切削加工では生産性に課題があり、また、鋳造では複雑な形状が得られるものの、合金成分の均質化が困難だった。
今回、真空ガスアトマイズ法を用いることで、MAT21の金属粉末化に成功。その粉末をGRITで金属積層造形し評価した結果、MAT21鍛圧材と同等の耐食性を持ち、かつ強度と硬度に優れることを確認した。
高い耐食性を維持しつつ、金属積層造形の特徴である自由な設計や周辺部品との一体化、ニアネットシェイプでの提供が可能になった。半導体製造装置や化学プラントなど高い耐食性が要求される部材の信頼性向上や長寿命化、低コスト化が期待できる。
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