個性豊かなシリコンバレーのスタートアップ、モビリティ向け技術をアピールCEATEC 2018(2/3 ページ)

» 2018年11月26日 06時00分 公開
[川本鉄馬MONOist]

スタートアップと大企業をつなぐPlug and Play

Plug and Play Japanの江原伸悟氏

 キーノートセッションの後半には、独自技術でモビリティの未来を切り開くスタートアップ企業とそのパートナーとなる大企業をマッチングする米国企業、Plug and Playの取り組みが紹介された。その日本法人であるPlug and Play Japanのディレクター 江原伸悟氏が、Plug and Playの支援プログラムに参加するArtisenseとTrillium Secureの取り組みを発表した。

 スタートアップ企業がシリコンバレーだけでなく世界中で生まれている中、スタートアップのパートナーを探す企業にとっては良しあしや特徴を判断するのが難しくなっている。Plug and Playは、モビリティ分野に限らず、スタートアップと大企業の間で、双方にとってよりよい関係を構築する取り組みを支援している。

 登壇した江原氏は、Daimler(ダイムラー)やGOODYEAR(グッドイヤー)、HELLA(ヘラー)などの社名を挙げながら、Plug and Playが既に多くの企業と「パートナーシップ」を締結していることを説明した。ちなみに同社におけるパートナーシップの意味合いは、Plug and Playを介してスタートアップを探すこと、大企業にスタートアップを紹介すること、それによってプロジェクトを生み出すことを指す。

 Plug and Playの本社はシリコンバレーにある。シリコンバレーに研究所を置く企業は多いが、江原氏は「どうやってスタートアップに会いに行こうか、どうやってアウトソーシングをしようかというところをお手伝いさせていただいている」と自社の活動を説明する。また江原氏は、「日本企業の方がシリコンバレーに行くケースではPlug and Playのシリコンバレーオフィスを通している方が多い」とも語る。

 Plug and Playのパートナーシップによって実現した例としては、Mercedes-Benz(メルセデスベンツ)「Aクラス」の最新モデルに搭載されたボイスコマンド機能がある。ボイスナビゲーションを支援するWhat3Wordsの技術がインフォテインメントシステム「MBUX(メルセデスベンツユーザーエクスペリエンス)」に採用された。What3Wordsでは3m四方の区画1つ1つに3つの単語を割り当てており、ドライバーは目的地を示す3語を入力することで目的地を正確に入力することができる(例えば「やくめ・ようい・つみれ」という3語は東京都庁の敷地の一角を指す)。海外では同じ名称の通りが複数存在したり、そもそも正確に発音するのが難しい地名もある。こうした課題を解決するための機能だ。

What3Wordsによる目的地検索(クリックで再生) 出典:What 3 Words

 この他、Porsche(ポルシェ)がHUD(ヘッドアップディスプレイ)に関してスタートアップに投資した案件の他、日産自動車やデンソー、マクニカなどと進行中のプロジェクトについても紹介した。

 日本におけるPlug and Playの動きとしては、同社のプロジェクトから生まれた成果を紹介するエキスポの運営がある。江原氏は「日本でもモビリティ分野でイノベーションが起きるように、このような取り組みに注力している」と語る。また、パートナー企業のエグゼクティブによる講演などを設定し、温度感と取り組みを生で感じられるような環境を提供しているという。

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