米国大使館は、「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、幕張メッセ)のカンファレンスで、「米国テクノロジー最前線- Society5.0に向けたMobilityの可能性」と題するキーノートセッションを主催した。
米国大使館は、「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、幕張メッセ)のカンファレンスで、「米国テクノロジー最前線- Society5.0に向けたMobilityの可能性」と題するキーノートセッションを主催した。
セッションに先立ちあいさつした米国大使館商務部 上席商務官のブリタニー・バンタ氏は、日米間における企業の貿易を促進するのが同大使館商務部の役割の一部であることを紹介。「CEATEC JAPANは日本において米国のイノベーションや技術を紹介する非常に重要な場所であるとし、今後もサポートを続けていきたい」と語った。
セッションでは、AI(人工知能)や画像処理、セキュリティなど、モビリティに欠かせない技術や取り組みが紹介された。今回はその中から、比較的若い企業に焦点を当て、その活動や周辺のサポートについて紹介する。
モビリティの未来には幾つかの方向性があり、「ライドシェア」も注目される分野の1つだ。今回のキーノートセッションでは、ニューヨーク発祥のスタートアップ企業であるViaでグローバルパートナーシップ副社長を務めるデイビッド・アデルマン氏が登壇し、同社が提供するサービスの内容を紹介。また、テッククランチジャパンのエディターである菊池大介氏とのトークセッションも行われた。
Viaはオンデマンドのライドシェアに特化した会社として2013年にスタートした。同じ方向に行きたい人たちを1台のミニバンに相乗りさせ、効率よく目的地に運ぶサービスである。Viaのサービスでは、利用者がアプリから配車をオーダーすると、現在地から近い場所に設定された“バーチャルバスストップ”と利用する車両を告げられる。利用者が指定された場所に移動して待つと車両がやって来るという仕組みだ。
このサービスでは、同じ方向に移動する人を1台の車両に直線的なルートでピックアップする。同じ範囲をぐるぐると巡って利用者をピックアップするのではないので、効率的に移動ができるという。当然ながら、このサービスでは利用者の有無や目的とする方向によって車両の走行ルートが動的に変化する。アデルマン氏は、利用者がアプリから配車要求をすると「1〜2秒でバーチャルバスストップの場所を表示する」とし、このレスポンスと効率を実現するため非常に複雑なアルゴリズムを最適化していることを紹介した。
現在注目されている配車サービスには、いろいろなものがある。しかし、アデルマン氏は、Viaのサービスをバスやタクシーといった既存の移動サービスとは競合しないと説明。Viaのサービスは、導入に際して導入先の都市や地域によりマッチする形にアルゴリズムをカスタマイズする。こうしたローカル化によって、既存の交通機関と協力関係を構築できる。また、客先のブランドとしてサービスを提供することも可能になる。
Viaのサービスは、米国ニューヨーク市マンハッタンでヒットしているという。Viaのサービスが普及すれば渋滞の緩和や大気汚染の抑制に貢献するが、アデルマン氏は「日本の都市、そして東京でもニューヨークと同じ様に私たちのライドシェアサービスが広がってほしい」と語った。
日本においては、森ビルとのパートナーシップによる「ヒルズビア」の実証実験が2018年8月から1年間の期間限定という形で実施されている。ちなみに、森ビルで行われているサービスは、利用対象を森ビルの社員に限定している。アデルマン氏は、森ビル以外にも多くの企業からパートナーシップへの関心が寄せられていると語る。
アデルマン氏は、「日本にはいろいろな規制があり、われわれが他国で導入しているようなプロジェクトはやりにくい」としながらも、「協業の精神を日本のパートナーの皆さまにもたらしたい」と抱負を述べた。
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