シュナイダーエレクトリックは2018年11月20日、FAやIIoT(産業用モノのインターネット)に向けた無停電電源装置(UPS)の新製品シリーズ「SecureUPS」を同年12月20日より発売すると発表した。工場などの厳しい環境に設置されることを想定した設計で、停電時も無瞬断かつ高効率にバックアップ電力を供給できる。
シュナイダーエレクトリックは2018年11月20日、FAやIIoT(産業用モノのインターネット)に向けた無停電電源装置(UPS)の新製品シリーズ「SecureUPS」を同年12月20日から発売すると発表した。工場などの厳しい環境に設置されることを想定した設計で、停電時も無瞬断かつ高効率にバックアップ電力を供給できる。
同シリーズでは、最大出力容量が750VA(675W)の「SecureUPS Online 750VA」と1000VA(900W)の「同1000VA」の2機種をラインアップ。販売はパートナーを通じて行い、メーカー標準価格は750VAが19万8000円、1000VAが22万8000円(いずれも税別)。「クラス最高の性能を持っており、競合メーカー製品と比較しても高い価格競争力を有している製品だ」(シュナイダーエレクトリック)という。
SecureUPSは、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)や産業用コンピュータなどに代表されるFAデバイス、駅の改札や券売機などの鉄道システムデバイス、電子カルテシステムなどのヘルスケアデバイスといった、数msの瞬断や電源波形の乱れも許容されない事業領域に対応する小型UPSシリーズ。
電源方式に無瞬断で高い可用性を実現する常時インバーターを採用しつつも、力率は0.9を実現した。この数値は「常時インバーター方式では業界最高クラス」(シュナイダーエレクトリック)だとする。また、工場などの厳しい環境に設置されることを想定し、動作温度範囲を−10〜55℃、湿度を0〜95%と拡大するとともに、ダストフィルターの使用で汚染度3までの空間に適合する。
SecureUPSが用いられる現場では、平均的なIT機器よりも製品寿命が長いデバイスのバックアップ電源を担う。そのため、同製品では一般的なUPSと比較して長寿命バッテリーを採用したことで、周囲温度25℃の環境において約8年間もの期間でバッテリーのメンテナンスフリーを実現した。保守サービスも同社従来製品と比較して充実させており、3年間の無償保証に加えて最長7年間のオンサイト保守も顧客の求めに応じて提供。顧客のメンテナンスコスト削減に貢献する。
バックアップ電源容量を増加できる拡張バッテリーパックもオプションで用意され、最大10台の接続に対応する。10台を接続した場合、SecureUPS Online 750VAの最大出力となる675W出力時に最大352分間、同1000VAで最大出力となる900W出力時に最大257分間電力を供給することができる。「生産ラインが停止すると少なくない損失が発生する企業においても、SecureUPSによってある程度の事業継続が可能な電源を確保できる」(シュナイダーエレクトリック)。
また、LCDマルチカラーディスプレイによってUPSの操作や状態監視を直観的に行える。USBとシリアルポートも備えており、電源供給対象のコンピュータと接続することで電源異常時に自動シャットダウンさせる機能を有している。拡張スロットを活用することで、ネットワークへの接続も可能だ。
同製品は日本国内における製造業顧客の声を基に開発を行ったとし、シュナイダーエレクトリックは他のグローバル市場に先駆けて国内市場で先行販売を行うことに決めた。
同社担当者は「IoTやエッジコンピューティングの進展で、生産現場においても産業用コンピュータやHMI(ヒューマンマシンインタフェース)の普及が進んでいる。しかし、われわれの実感ではこれらの装置に対してUPS接続率が2割程度と、国内製造業におけるUPSのニーズはまだ開拓の余地がある。FA機器の足回りを支えるUPSの重要性を伝えていきたい」と語り、顧客ニーズ次第でさらなる製品ラインアップ追加も検討するとしている。
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