Edgecrossコンソーシアムとは、FA(生産現場)システムの部分とITシステムの部分のインタフェースを持ち、この間をつなぐシステムを提供している。このシステムによって、「リアルタイムデータ処理」「FA(生産現場)のモデル化」を行い、稼働監視・予防保全・データ分析などの必要とする目的に応じたアプリケーションを持ち、クラウドやオンプレミスの環境にそのデータを受け渡す。中国への出展があるということは、そこでの需要も高いということである。
金型部品メーカーで電子カタログを提供するミスミも展示していた。ここで大々的に展示されていたのが、ミスミの「inCAD」である。
InCADの展示では、筆者も体験をしたが、見学者が体験できるようになっていた。デモ用PCが空くのを多くの人が待ち構えていて、盛況であった。
筆者は、日本で開催される製造関連の展示会を見学することがあるが、その規模をはるかに上回ると思われる展示会場と出展者、会場を埋め尽くす来場者には圧倒されるものがあった。その展示内容も、日本と同じ、もしくはそれを上回るものであると感じた。多少、荒削りとも思える内容もあるものの、かつて、BRICs(ブリックス、※)などと言われた時代の「後進国」などというイメージを持つのだとすれば、それは既に過去の出来事だ。中国といえば、報道などでよく見る、テーマパークにおける著名キャラクターの著作権問題などのイメージも強い人もいそうだが、そのようなことをする企業はごく一部である。それらが中国のイメージだと思い込んでいるのだとしたら慢心であって、危ういと感じる。
製造業に関して、中国は驚異的成長をしていることは事実である。その基調を成しているものが「中国製造2025」であり、現在、デジタライゼーションの変革が起きている。
「Manufacturing in the Age of Experience」への参加者は、中国の若き経営者であると聞いている。ここでの話では、「製造のルネサンス」となるものを、中国の学生が学び、国外の有名なコンサルティングとも手を組み、学術的な向上も図っている。更にはダッソーの製品のように、国外からも優れたビジネスプラットフォームの導入を進めている。
今、日本でも、IoTという言葉をメディアで見ない日はないが、その実体はどうなのであろうか。日本の産業を見てみれば、IIoTは、機器やツールに偏ったもののように思うのは筆者だけなのであろうか。
日本版インダストリー4.0といわれる「コネクテッドインダストリーズ」をご存じだろうか。以下の5つが重点分野である。
これらの重点分野により、「さまざまな業種・企業・人・機械・データなどがつながって、AIなどによって新たな付加価値や製品・サービスを創出、生産性を向上、高齢化、人手不足、環境・エネルギー制約などの社会的問題を解決、これらを通じて産業競争力の強化」(経済産業省「Connected Industries東京イニシアティブ2017:平成29年10月2日」より抜粋)というものであり、分科会によって検討イメージというものが検討されているとのことである。
インダストリー4.0や日本のコネクテッドインダストリーズについて筆者は、所属する長野県知的産業技術研究会において、ITコーディネータ資格者より学んでいる。上で示した日本の5つの重点分野を見ても、「インダストリー4.0」や「中国製造2025」に比べて具体性に欠け、イメージ優先のぼんやりしているものに感じられる。
コネクテッドインダストリーズは日本が目指す超スマート社会「Society5.0」(サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合)するものとも言われても、これもまた、「モヤッと」してならない。筆者が関連する分野の検討について触れてみる。
下図のような分科会における検討イメージとして挙げられていたが、筆者はこの検討イメージから「強いものづくり」が達成できるイメージが出来ない。分科会の企業に期待をする。
中国は「5つの基本方針」と「4つの基本原則」を掲げ、2025年までに中国製造世界の製造強国入りを果たすという具体的なものを目指している。
日本はこれまでの経験とそれによる技術力により、今は製造業においても先進的なポジションにいると理解している。しかし、最新の考え方をアグレッシブに取り入れていく(取り入れている)中国の状況を見ると、「振り返ったらどの国もいない。ふと前を見たら、いた」という状況になってしまうのではないか、という不安にかられた。
「日本が製造強国の中で競争力を持ち続けているのだろうか」ということを考えずにはいられない。(終わり)
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