新しいアイデアとプラットフォーム構築がカギ、食と居住空間の未来パナソニックが描く未来の“カデン”(1/2 ページ)

パナソニックは、創業100年を記念したプライベートイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日、東京国際フォーラム)を開催中だ。その中で、家電事業を担当するアプライアンス社は未来の“カデン”を提案するユニークなコーナーを設けた。

» 2018年11月01日 06時00分 公開
[松本貴志MONOist]

 パナソニックのプライベートイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日、東京国際フォーラム)では、家電事業を担当するアプライアンス社が未来の“カデン”を提案するユニークなコーナー「Game Changer Catapult」を設けている。

 パナソニックが描く未来の“カデン”は、どのような価値をもたらすのか。前編記事に続き、会場で披露されたアイデアを紹介したい。

「Game Changer Catapult」のブース風景(クリックで拡大)

発酵状態を確認しシェアできる、スマートみそ作りキット

 「それぞれの家庭の味を蓄積し後世に残したい。地域に根ざすみそ文化の形成に貢献したい」。こう語るのは、ユーザーが自らの好みに合わせたみそを作ることができるサービスプラットフォーム「Ferment 2.0」の開発者だ。

 Ferment 2.0で注文できるスマートみそ作りキットは、みその原料となる大豆、麹(こうじ)、食塩、そしてみその発酵状況推測に用いる「センサースティック」で構成される。センサースティックには温度センサーとBluetoothモジュールが組み込まれており、発酵段階で異なるみそ内部温度をスマートフォン経由でクラウドに送信する。みそは仕込みから約2カ月で完成するが、発酵状況はスマートフォンアプリで逐次確認することができる。また、アプリではライフログやレコメンド機能の提供も行う。

左:みそに設置されたセンサースティック 右:スマートフォンアプリでみその発酵状態が確認できる(クリックで拡大)

 みその発酵状況はクラウドに貯蓄された温度データの積算値と、ユーザーに送付したみそ原料のパラメーターによって推測する。このアルゴリズムは協業パートナーであるマルコメが開発しており、「強化学習を利用して推測アルゴリズムの精度改善を行っている」(Ferment 2.0のパナソニック開発者)という。

 Ferment 2.0ではスマートにみそを作ることだけでなく、みそを含めた発酵食に関わる生産者と消費者をつなげるコミュニティーを作り出すことを狙う。スマートフォンアプリとクラウドを生かし、ユーザーと生産者を対象としたSNS機能も提供。「発酵食をテーラーメイドするトレンドがある中で、生産者と消費者を結び付けるプラットフォームにしたい」としている。

 Ferment 2.0の事業化時期については未定だが、「必要な投資を受けることができれば、技術的にはローンチが可能」な状況とする。スマートみそ作りキットの価格については、繰り返し使用できるセンサースティックが3000円程度、原料セットが2000〜3000円程度を想定しているという。

スマートみそ作りキット(クリックで拡大)
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