完成検査の一部ルールが法令化、検査実施方法の新たな申請も可能に製造マネジメントニュース

国土交通省は2018年10月12日、完成検査の実施方法などを明確化するため自動車型式指定規則の一部改正を実施すると発表した。

» 2018年10月15日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 国土交通省は2018年10月12日、完成検査の実施方法などを明確化するため自動車型式指定規則の一部改正を実施すると発表した。

 複数の自動車メーカーで完成検査の不適切な取り扱いがあったことを受けて、同省は2017年11月に「適切な完成検査を確保するためのタスクフォース」を設置。2018年3月に、完成検査の確実な実施のために必要な措置をまとめた「中間とりまとめ」を公表し、完成検査の確実な実施、効果的なチェック、不正防止に向けて講じるべき措置について提言した。今回の自動車型式指定規則の一部改正は、この中間とりまとめを踏まえたものとなる。

 今後も、自動車の保安基準適合性の確保の在り方について、完成検査の改善や合理化などを含めて継続的に見直していく方針で、国土交通省と関係者は議論を進めながら取り組んでいく。

ルールの位置付けを明確化

 今回の改正では、これまで通達において規定されていた完成検査員の選任に関するルールを、省令などに規定した他、完成検査の記録を書き換えられないようにする措置や、型式指定制度の適正な運用を確保するための勧告制度に関する規定を新設した。さらに、抜き取り検査などで新たな完成検査の実施方法を申請可能であることを明確化している。

 具体的には、完成検査の実施に必要な知識や能力として国土交通大臣が定めるものを有すると認める者を完成検査員としてあらかじめ選任すること、完成検査員に対して国土交通大臣が定めた知識と能力を習得するための教育訓練を実施すること、教育訓練に関して国土交通大臣が定めた事項を記録、保存することを求める。また、完成検査を実施する際は、国土交通大臣が定める事項を記録、保存するとともに、その記録を書き換えられないようにしたり、書き換えた事実が判別できるようにする措置を講じなければならないと定めた。

 型式指定制度が適切に運用されるための措置として、国土交通大臣は自動車メーカーに対して必要な措置を勧告できるようにする。また、完成検査に関する法令違反がある時は、型式指定の効力を停止することができるようにした。

完成検査の実施は必要不可欠

 「適切な完成検査を確保するためのタスクフォース」が2018年3月に発表した中間とりまとめでは、これまで、通達や監査による指導で補完していた完成検査の実施方法や教育訓練など完成検査員の要件について、ルールの枠組みを法令化し、規範としての位置付けを明確化することを求めていた。具体的な完成検査の実施に関するルールは自動車メーカーごとに品質管理の実態に合わせて定められるようにする。また、完成検査の実施について自動車メーカーが負うべき責任を明確化することを提言した。

 技術の進化に合わせた完成検査の在り方の見直しについては、自動車メーカーは検査の自動化や工程内検査の活用など、自動車技術の進化や実態に対応した適切な完成検査の方法を採用できるようにすべきだとしている。国土交通省も、新たな検査方法を事前チェックの上で認めることを明確化し、検査方法の合理化を促進する。

 完成検査の不適切な実施が発覚した後の機動的な措置については、業務の是正や完成検査の一時停止の勧告など是正措置を拡充することや、抑止力として自動車メーカーに対する罰則拡大や重点的な監視を行うことが挙がった。

 完成検査の意義については、全ての自動車が安全、環境基準に適合することを確認する国の検査の代替として、自動車メーカーが自ら実施する必要があること、完成検査の実施によって保安基準に適合しない車両が見つかり、リコールに至ることもあることから、実施は必要不可欠だという前提に立っている。

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