その後、自動で組み立てられた配送箱にQPSでピックアップした製品を収め、自動封函機によって封函される。特徴は、内容物の量を計測し、その量に応じてダンボールの折り込み線の位置を変えて、圧縮してちょうどよいサイズの箱とするために「少ない内容量なのに大きすぎる箱」という状況を防ぐことができるという点である。これにより、1度の配送車での配送量を増やす効果なども生まれているという。
封函された箱は、バーコードによる認証により、方面別仕分けソーターで仕向地に応じて自動で仕分けされる。配送パートナーがこれらの仕分けされた箱を順番に受け取り、それを仕向地に合わせて配送する。この工程も従来は人手で、配送パートナーに大きな負担をかけていたが、それを大幅に低減できたとする。
使用後のパレットをたたむ作業も自動化する。「従来はパレットをたたむのにも多くの人手がかかっており、生産的でないと感じていた。それを改善できた」(神保氏)としている。
これらの自動化の効果により、入庫生産性は80倍、出庫生産性は19倍に上がったとし、省人化率も90%に達したという。リードタイムについても「従来はオーダーを受けてから出荷するまでに8〜16時間かかっていたが、今は早ければ15分、遅くても1時間以内には出荷できている」(神保氏)とする。
今後、ファーストリテイリングではこれらの自動倉庫を全世界に広げていく方針である。「日本だけでも12の倉庫があり、これらの自動化を進めていく。また既に海外でも取り組みを開始しており、中国、タイ、オーストラリア、米国の東海岸と西海岸では既に着手している」と神保氏は述べている。
さらに、現在唯一人手が残されているピックアップの領域についても「既に自動化に向けた取り組みは進めており、1年以内に完全自動化を実現できる。多数のロボットベンチャーなどとも話を進めているところだ」(神保氏)としており、現在の自動倉庫の姿もさらに進化させる姿勢を示している。
神保氏は「他のEコマース企業は多種多様な製品に対応するために自動化には限界があるというのが定説となっていた。しかし、ファーストリテイリングはアパレルの自社製品だけに特化している。服の専門家だからこそできることがある。今までに全く無い新しい自動倉庫の姿を作り出していきたい」と今後の抱負について述べている。
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