美容家電に本気のマクセル、第1弾は温風を“出さない”ドライヤー:イノベーションのレシピ(2/2 ページ)
今回発表されたレクサムブランドの製品は、ドライヤーが2機種と多機能温冷美顔器が1機種の計3アイテム。特に、一般的な温風ドライヤーから動作技術が異なる「光ドライヤー」に注目が集まっていた。
「光ドライヤー」のMXHD-3000(クリックで拡大)
温風ドライヤーは、ニクロムヒーターを熱源として空気を加熱、温風により髪を乾かす。しかし、「温風が髪に届くまでに周囲空気を巻き込むため、多くの熱エネルギーが必要」「髪が部分的に高温となるオーバードライが発生しやすく、キューティクルが痛みやすい」(マクセル担当者)ことが欠点とされる。
温風ドライヤーと光ドライヤーの比較(クリックで拡大) 出典:マクセル
光ドライヤー使用時に点灯するランプユニット(クリックで拡大)
同社が新開発した光ドライヤーは、ニクロムヒーターの代わりにランプユニットを内蔵。ランプユニットが「紫外線を除いた波長の光を照射し、熱放射で髪を温める」ことが最大の特長だ。ドライヤーからは温風ではなく常温風を光の照射部分に送風し、熱放射によるヘアドライを促進させる。
ランプの光源については「詳細は明かせない」としつつ、「光源メーカーとの協業で開発したもの」。その他、同製品の開発では「風を拡散させないよう吹き出し口をインナーノズル形状とし、扱いやすいよう重量バランスにも配慮した」ことが工夫点となる。
温風ドライヤーと光ドライヤーの毛髪水分量比較(クリックで拡大) 出典:マクセル
記者も同製品を体験したが、電気ストーブに当たっているような温熱感で、従来の温風ドライヤーのように局所が熱く感じることはなかった。このため、髪の潤いを維持したまま髪を乾かすことができ、外部検査機関による評価でも髪のツヤやコシ、指通りが温風ドライヤーと比較して優れていることを確認できたという。また、消費電力も一般的な温風ドライヤーから半分の数値となる600Wと、優れた省電力性能を実現した。
同製品も美容サロンルートで2018年11月25日から販売開始となるが、「一般消費者もサロンで購入可能」とする。オープン価格とするが、「想定価格は4万5000円程度」。同社担当者は同ブランドの今後について「時期は未定だが、将来的には民生向けに行きたいという思いはある」と語り、「そのためにプロに認められる製品づくりを行い、ブランドを成長させたい」とした。
光ドライヤーを用いたヘアブローのデモ(クリックで拡大)
- リチウムイオン電池のセパレーター事業を強化、宇部興産とマクセルが新会社
宇部興産は2018年7月31日、リチウムイオン電池のセパレーター事業を強化するため、新会社の設立と事業移管を行うと発表した。マクセルとの共同出資会社である宇部マクセルに宇部興産のセパレーター事業を移管するとともに、新会社「宇部マクセル京都」を設立して需要が急増する塗布型セパレーターの研究開発を加速させる。宇部興産とマクセルがセパレーター事業を一体運営することにより、競争力を高める。
- 二次電池各社の進む道、それぞれの先進技術と抱える課題
「第9回 国際二次電池展」の基調講演では、マクセルホールディングス、BYD、CATL、Teslaなど、日米中の二次電池関連各社が登壇。先進技術動向と抱える課題などについて説明した。
- 洗濯機もクラウドにつながる時代、日立家電事業の勝算
日立グループで空調・白物家電を主要事業とする日立アプライアンスは、新開発の「AIお洗濯」機能を搭載したコネクテッド家電のドラム式洗濯乾燥機「BD-NX120C」を2018年11月17日より販売開始する。日立家電事業の未来を占うカギは、この洗濯乾燥機に搭載されたセンサーから得られる生活者のデータだ。
- IoT製品でこれまでと違う方向性へ、キングジムの「ニッチ戦略」
キングジムは2018年10月10日、スマートプログラムアラーム「リンクタイム LT10」を発表した。販売価格は1万3200円(税別)、販売開始は同年10月26日。同製品はスマートフォン(アプリ)やPC(Webブラウザ)から遠隔にある時計に指示を送りアラームなどの設定が簡単に可能だ。
- 人口減少時代だからこそ必要な「夢」、植松電機はなぜ宇宙に挑戦するのか
溶接・接合技術関連分野の展示会「国際ウエルディングショー」(2018年4月25日〜28日、東京ビッグサイト)で、「ものづくりと人づくり――思うは招く」をテーマに植松電機代表取締役兼カムイスペースワークス代表取締役の植松努氏が開幕記念講演を行った。
- “納得できない現状”のジャパンディスプレイ、イノベーションで未来は拓けるか
ジャパンディスプレイが事業戦略発表会「JDI Future Trip〜First 100 Days〜」を開催。同社 常務執行役員 CMOの伊藤嘉明氏は、同氏が中心になり、社内公募によって2018年4月に発足させたマーケティング・イノベーションを推進する組織体による約100日間の成果を紹介するなど、イノベーションにより厳しい現状を打開する方針を打ち出した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.