事例講演に続き、パネルディスカッションが行われた。
このパネルディスカッションでは、研究教育機関における3人の代表者により、「今後の製造」について議論が交わされていた。
今回のイベントでは、中国の清華大学の中にマッキンゼー&カンパニーが開設している「Mckinsey Digital Capability Center」が持つ製造の一気通貫の仕組み(前回、前々回参照)が大きなテーマになっていた。
清華大学では、デジタルツール、業務シナリオ、バーチャルとリアルのデジタルツインといった仕組みを研究している。まさにこの仕組みこそが、これからの製造の形であるといえる。
このパネルディスカッションで出てきたキーワードをいくつか並べてみる。
これらのキーワードからも、まさに「Digitalizationが今日で、Makers & Innovatorsが明日」ということになるが、それは単純に「ツールが変わる」ということではない。「ビジネスそのものが変わる」ということを、パネリストたちは強調していた。
しかし、この新しい考え方を学ぶ、あるいはその実践ができる環境が整備されるのはこれからの話だ。IoT(モノのインターネット)やIIoT(産業分野向けIoT)により新たなビジネス、新たな製造へと発展していくだろうことは明らかであるものの、集められたデータを分析できる人材が現状ではまだ少ない。明日へ向かう上で、これらの人材を育成していくことが教育研究機関に求められていることは明確である。それは世界共通であるのかもしれない。
ただし中国企業に関していえば、レガシーシステム(旧システム、古いシステム)を持たないといっても過言ではないであろう。潤沢な人やモノ、資金を持った企業であれば、最新の技術を迷いなく導入してしまうだろう。
一方、日本企業においては、レガシーシステムを引きずり、新たなシステムに移行できないという話をよく聞く。筆者も実際、このような経験をしている。これではイノベーションは確立できず、新たなビジネスも失うことになる。
日本は、製造2025にまい進する中国に対する競争力を持てないかもしれない。これは大企業か中小企業か、老舗かスタートアップかに限らない問題であって、日本にとって脅威だといえる。なぜなら、中国では企業規模の大小にかかわらず、「産業のルネサンス」といわれる動きを皆目指しているからだ。
最後には「CONCLUSION」があり、初日のManufacturing in the Age of Experienceを終えた。
さて、あの会場を埋め尽くしていた中国の若き経営者や技術者はどう感じ、今日、明日にどう行動に移すのであろう。
次回はCIIF2018について紹介する。
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