2030年にマツダは電動車100%、「ディーゼルも電動化組み合わせて残す」電気自動車(1/2 ページ)

マツダは2018年10月2日、東京都内で会見を開き、2030年に生産する全ての車両に電動化技術を搭載すると発表した。内訳の5%は電気自動車(EV)で、バッテリーのみで駆動するモデルと、ロータリーエンジンを発電に使うレンジエクステンダーモデルを開発する。エンジンのみで走るクルマはラインアップからなくなる。

» 2018年10月03日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]
マツダの藤原清志氏

 マツダは2018年10月2日、東京都内で会見を開き、2030年に生産する全ての車両に電動化技術を搭載すると発表した。内訳の5%は電気自動車(EV)で、バッテリーのみで駆動するモデルと、ロータリーエンジンを発電に使うレンジエクステンダーモデルを開発する。エンジンのみで走るクルマはラインアップからなくなる。

 残りの95%は内燃機関に電動化技術を組み合わせた「xEV(ハイブリッド車=HEV、プラグインハイブリッド車=PHEV)」とする。xEVの戦略の1つとして、新開発のロータリーエンジンを核に、駆動用モーターの出力やバッテリーと燃料タンクの容量を市場に合わせて調整するマルチソリューション化により、1車種でさまざまな電動パワートレインを設定できるようにする。

 複数の自動車メーカーがディーゼルエンジンの開発や搭載を中止しているが、マツダとしては電動化技術と組み合わせながら、引き続きラインアップに残す方針を示した。マツダ 代表取締役副社長執行役員の藤原清志氏は「産出される軽油の活用や、ディーゼルエンジン特有のトルクの大きさが向くクルマがあることを考えると、まだ可能性はある。NOxの低減は課題だが、これまで解決してきた歴史がある」と述べた。

EVユーザーの不安をレンジエクステンダーで解消

 今回発表した電動化戦略は、技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」の実現に向けた取り組みとなる。この長期ビジョンでは、企業平均CO2排出量をWell-to-Wheel(燃料の採掘、発電や燃料精製から車両走行まで)で2030年に2010年比50%減、2050年に同90%減を目指す。パリ協定や経済産業省の「自動車新時代戦略会議」も踏まえた目標だ。これに合わせてHEVを2019年に、PHEVは2021年以降の投入を計画している。

 EVは当初2019年発売としていたが、2020年に投入する。バッテリーの技術動向を取り入れるとともに、他の電動パワートレインへの展開を織り込むのに時間を要した。製品化するEVの具体的な走行距離については明言しなかったが、レンジエクステンダーモデルは、バッテリーのみで駆動するモデルの2倍の走行距離を実現することを目指す。駆動用バッテリーの電力残量が一定水準を下回るとロータリーエンジンで発電する。2017年にマツダとトヨタ自動車、デンソーが立ち上げたEV C.A. Spiritの成果は含まれない。

 藤原氏は「走行距離が何kmあればEVでも安心かという議論があるが、答えはない。ガソリンスタンド並みに充電インフラが普及し、給油と同等の短時間で充電が終われば内燃機関のあるクルマと同じ使い勝手になるが、これは現実的ではない。ガソリンを使えるレンジエクステンダー付きEVは、走行距離や充電インフラを探す不安を解決する、人にやさしい技術だと考えている」と走行距離に対する不安を解消する開発方針の狙いを述べた。

 ロータリーエンジンの特徴も生かす。レンジエクステンダーに2気筒のレシプロエンジンを使う場合と比べて、ロータリーエンジンは小型軽量で、エンジンルーム内でのスペース効率も高い。また、ロータリーエンジン特有の機構と燃焼特性による静粛性、振動の少なさは、走行音が静かなEVで生きるとしている。

ロータリーエンジンはレシプロエンジンよりも小型軽量なレンジエクステンダーに(クリックして拡大) 出典:マツダ
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