製造業における品質不正問題は2018年も後半に入った今でもとどまる気配を見せていません。2018年8月9日には新たにスズキとマツダ、ヤマハ発動機の3社で、排ガス検査における検査不備があったという謝罪会見がありました※)。2017年から続く一連の不正問題では日本のモノづくりへの信頼を大きく毀損(きそん)し、今後に向けた大きな損失になるのは間違いありません。
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当然一連の問題の中には、ごまかす意図がある悪意のあるものや、販売時のスペックに達していないものを結果として販売していたような悪質なケースがあり、こうしたケースは強く非難されるべき問題だと考えます。ただ、一連の不正問題を見ていて、大半のケースが「当事者たちは問題ないと思っていた」ということをとても興味深く感じました。
- 「検査員の運転スキル」が頼りの完成検査、ヒト依存から脱却へ
国土交通省は2018年8月9日、スズキとマツダ、ヤマハ発動機の3社において、排ガスの抜き取り検査で、正しい条件で測定できなかったデータを有効なものとして扱う検査不備があったと発表した。
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日産自動車は、完成検査の工程の1つである燃費と排ガスの測定において不適切な行為があったと発表した。抜き取りで燃費と排ガスの測定試験を行った2187台のうち、1171台でJC08モードで定める測定条件を満たさないまま有効な測定結果として扱ったり、測定設備の画面から測定値を一部書き換えたりしていたことが社内調査で判明した。日産自動車の九州工場を除く国内5カ所の生産拠点でこうしたことが行われていた。
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2016年以降、自動車や素材など製造業でデータ偽装事件が相次いだ。データの改ざんを防ぐには、企業体質の改善だけでなく、データを改変できない環境づくりを進める必要がある。
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2017年の製造業を取り巻く動きの中で、最もネガティブな影響を与えたのが「品質不正」の問題だろう。「日本のモノづくり」のブランド力を著しく傷つけたとされるが、2018年はこの問題にどう対応するのかという点は、全ての製造業の命題である。人手不足が加速する中、解決につながる「仕組み」や「ツール」に注目が集まる1年となる。
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製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第21回となる今回は、IoTやAIを活用することで品質向上への取り組みがどのように変化するのかという点を紹介します。
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