矢野経済研究所は、セルロースナノファイバーメーカーを対象に、2018年のCNF市場を調査し、市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。2018年の同市場は出荷数量が50〜60t、出荷金額が5〜6億円になる見込みだ。
矢野経済研究所は2018年7月26日、セルロースナノファイバー(CNF)メーカーを対象に2018年のCNF市場を調査し、市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
同調査では、2015年から2017年初頭にかけてはCNFの量産は始まっておらず、生産量も限定的であり、本格的な実用化に向けた準備段階という位置付けであったと報告している。しかし、製紙および化学メーカー各社が各種生産プロセスによる商業生産を目的とした量産プラントを2017年に相次いで立上げたことで、2017年末時点でのCNFの量産プラントの生産能力は700t/年(固形分換算)に達したという。
この他、固形分換算で数十〜百t/年程度の生産能力のパイロットプラントを保有しているメーカーも数多く存在し、CNFの供給体制にも余裕ができたことから幅広い分野でCNF採用に向けた検討が加速度的に拡大した。
このような状況により、2017年の国内CNF市場はメーカー出荷ベースで出荷数量が20t、出荷金額が4億円になった。2018年の同市場は出荷数量が50〜60t、出荷金額が5〜6億円になる見込みだ。
特に今後の採用拡大が期待される自動車向けでは、2017〜2018年にかけて開催された国内外の展示会でのCNF複合樹脂を使用したドアトリムやインテークマニホールド、トランクパネル、ボンネットなどが相次いで発表された。
また、総合スポーツ用品メーカーの高機能ランニングシューズのミッドソール部材にCNFを配合した特種ポリマーの発泡体が採用された。その他、増粘剤や分散剤などの機能性添加剤用途では、国内外の化粧品メーカーに向けたサンプルワークが進んでいる。
需要拡大への期待値が高い自動車関連では、CNFの活用により2020年の自動車重量を現状より10%軽量化を目指す産官学連携のNCVプロジェクトが環境省の主導により発足。2018年6月にはエンジンカバーやトランクリッドにCNFを採用した第一世代のモデルカーが披露された。
CNFは幅広い用途で採用に向けた検討が進展しており、2030年には多くの用途で製品出荷が始まることで、2030年のCNF市場はメーカー出荷ベースで、出荷数量が5万t、出荷金額が600億円にまで拡大すると予測している。
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