これらの方針を受け、2030年の思い描いた未来からのバックキャスティングと、現在のモノづくりからのフォーキャスティングを組み合わせ、キーワードを抽出して作成したのが「モノづくりビジョン」である。
これらを経て策定されたのが新たな「モノづくりビジョン」である。新たなモノづくりビジョンは以下の4つのキーワードで構成されている。
小川氏は「従来の取り組みとの大きな変化は、まずはデジタル技術を全ての背景として位置付けたこと。また、RapidやCircularなどもモノづくりの中での明確な位置付けを新たに示したことが特徴だ」と述べている。
例えば、「Rapid」としては、2018年4月に生産技術本部内に「ラピッドマニュファクチャリング推進室」を設立、金属3Dプリンタなどを活用しながら、数百台程度の製品を短期間で生産することでビジネスモデルを高速検証できる仕組みを作る。既に金属3Dプリンタによる取り組みは一部で具体的に進んでいるが、金型の製作リードタイムを従来の1カ月から1週間に短縮するなど、「『0から1』『1から100』へと製品開発を加速させるためには大きな役割を果たすと考えている」(小川氏)としている。
「Rapid」として取り組みの例。パナソニックが取り組む新たなスマートホームの世界を実現する「HomeX」の基本センサーキット。ラピッドマニュファクチャリングフェーズが2018年1〜3月で社内開発者に100台を配布。同年春にリリースした(クリックで拡大)また「Integrated」として取り組むデジタル技術を活用したマスカスタマイゼーションでは、CPS(サイバーフィジカルシステム)化を加速しており、生産工程シミュレーションなどを積極的に活用し、デジタル空間でのシミュレーションによる柔軟な生産現場の実現に取り組んでいる。さらにIoTの活用によりトレーサビリティーの強化に取り組み、工場データの一元管理化を進めているという。
300拠点以上の製造拠点を抱えるパナソニックでは工場による進捗度の違いがあることは事実だが「まずは各カンパニーでモデル工場を作ってもらい、そのソリューションやツールを横展開する取り組みを進めている。一方で、IoT化やスマートファクトリー化を進めるとサイバー攻撃のリスクが高まる。工場ネットワークをいかに守るのかという取り組みについては、全工場で全速力で取り組んでいる」と小川氏は工場での取り組みについて述べている。
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