この変化を実現するために同社は5つの項目に注力している。1つ目は「System Partitioning」で仮想化技術となる。そして2つ目の「Workload Consolidation」はワークロードの統合化である。これら2つは、先述した変化の2段階目で重要な役割を果たし、従来の制御システムを共通プラットフォームに統合していくことになる。「既に航空宇宙分野で起こっていることで、今後は自動運転技術が注目される自動車でも求められる」(ノイズ氏)。
3つ目は「IT Scalability/OT Integrity」である。従来の組み込み機器はハードウェア、ソフトウェアとも要件に合わせてカスタマイズすることが多かったが、今後は汎用的なハードウェアをベースにアプリケーションで要件を実現するITシステムのようなアプローチが必要になる。「ネットワーク機器では、NFV(ネットワーク機能仮想化)によるハードウェアとソフトウェアの分離で実績がある。この技術は、今後さまざまな分野で求められるだろう」(ノイズ氏)。
4つ目は「Machine Learning」で、現在のAIの中核をなす機械学習だ。ノイズ氏は「組み込み機器向けの機械学習は、クラウドなどと比べて反対のアプローチが必要になる」と説明する。目的を検討し、課題が特定されたらベストなフレームワークを選択。そこからハードウェアを選ぶ。「CPUも十分な性能があるが、場合によってはGPUやFPGAも使う必要がある」(同氏)という。
5つ目は「Fluid Computing」だ。IoTがトレンドとなる中で、これまでのITシステムの主役がメインフレーム、クライアント−サーバ、クラウドと移り変わる中で、集中と分散を繰り替えしているといわれる。ノイズ氏は「クラウドへの集中からIoTによる分散が起こるのではなく、今後はエッジからクラウドに至るまで液体を満たすような形になるのではないか。当社は、全てのコンピューティングデバイスを変えていきたい」と述べる。
これからのウインドリバーは、これら5つの項目を柱に、現在の製品ポートフォリオを拡充していく。「組み込み分野にITシステムの拡張性をもたらすという意味で、インテルの傘下では良い成果が得られた。今後は独立企業として、M&A施策を含めてソフトウェアにフォーカスした事業展開が可能になる」(ノイズ氏)としている。
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