日本における3DEXPERIENCEプラットフォームユーザーとしては、「和の大家」として知られる隈研吾氏が率いる、隈研吾建築都市設計事務所を紹介した。同社は建築向け「デザイン・フォー・ファブリケーション」を採用している。世界各国で進められている建築プロジェクトをリアルタイム管理し、社員や関係者らが同じデータベースの最新データにアクセスできるようにしている。
TactoTekはフィンランドのスタートアップで、ダッソーのパートナー企業である。同社の独自技術である射出成形構造用エレクトロニクス「IMSE(Injection molded structural electronics)」を開発する。IMSEとは、簡単に説明すれば、電子部品を成形品の中に封じ込めてしまう技術だ。タッチセンサーや配線、LEDなどが成形品内部に作りこめるため、別部品として組み込まなくてもよくなる。プラスチックは軟質なものから硬質なものまで対応し、木材ベースの材料を成形することも可能だ。布にセンサーを入れ込んで防水対応にすることも可能なので、衣類に組み込むウェアラブルデバイスも実現できる。
TactoTekはIMSEによる電装部品設計技術や機械材料に関するナレッジをデータベース化している。また3Dデータ設計の部分でダッソーが協力し、CADのCATIAとCAEの「SIMULIA」を用いている。今後、TactoTekはCATIA向けアドオンモジュール「IMSE Designer」を2019年中に提供する予定だ。
3DEXPERIENCEプラットフォームの事例は工業にとどまらず、医療にも及ぶ。「リビング・ブレイン・プロジェクト」は、3Dデータで脳のバーチャルクローンを作成する技術であり、HPC環境でシミュレーションを走らせる。ローラン氏はてんかん患者向けのバーチャル検証システムを紹介した。こちらは2014年発表、2015年に商用化されたの心臓シミュレーターの「リビング・ハート・プロジェクト」に続く取り組みである。リビング・ハート・プロジェクトでは化学シミュレーションツール「BIOVIA」も巻き込んだ薬効関連のシミュレーションも研究されている。
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