デジタルツインを実現するCAEの真価

5分で分かるIoT時代のMESとは5分で分かるIoT時代の製造ITツール(5)(2/2 ページ)

» 2018年05月25日 10時00分 公開
[志田穣MONOist]
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これからのMES

 昨今のセンサー、ネットワーク環境の進歩により、設備インタフェースや工場ネットワークの課題が徐々に解決されています。つまり、工場内で移動する作業対象(ワーク:原材料や中間製品)の現況や、設備/作業者の稼働状況がリアルタイムで把握可能になり、MESを中核としたつながる工場の素地が整いつつあります。これにより以下のようなことがMESで実現可能になると考えられます。

設計側からのエンジニアリングチェーンとの連携

 設計側で定義されるE-BOMから、製造部品表(M-BOM)と作業工程表(BOP=Bill of Process)かつ作業者への作業指示をスムーズに生成可能になります。作業指示に当たり、3D情報、ARなどの活用も図られています。またこのプロセスはコンフィグレーターの機能と連携することで、少量多品種生産(マスカスタマイゼーション)に貢献することができます。

製造側エンジニアリングチェーンの連携

 MES側で現場の機械/設備のマスタ情報にアクセスまたは管理し、そのマスタ情報と共に現場からの情報入手、機械/設備への制御を行います。それにより複数機械を連携させる制御、また稼働監視や予防保全が期待され、工場のエネルギー消費最適化、稼働率向上に貢献できます。

サプライチェーンとの連携

 生産オーダーを計画層(ERPやSCM)から受け取り、仕向け地と数量/納期の情報から、生産スケジューリングを行います。SCMの進化系である販売および業務計画(S&OP:Sales and Operations Planning)の実現によって、タイムリーな需要予測が可能になり、IoT(モノのインターネット)による関連部署間のリアルタイムコミュニケーションが進むと、よりサイクルの短い生産スケジューリングと連携させることで収益率向上に貢献できます。

顧客サイド(サービス現場)からのフィードバック

 製品の使用状況/品質やトラブルに関わるフィードバック情報を、製品ロットやシリアル番号とともに管理します。製品の使用状況については、コマツの「Komtrax」に見られるような車両管理(Fleet Management)が大きな潮流になっており、車両位置の追跡、運転情報収集、予知保全(在庫保守部品の調整)に貢献できます。

 以上のように、IoT化で製造業におけるMESの役割や範囲は大きく拡大することが期待されます。



 次回はインダストリアルIoTそのものについてお話する予定です。

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