MONOist AI関連ではどのような取り組みを進めていますか。
江川氏 これまで当社が取り組んできたAIの代表例は、NVIDIAと協力して進めてきたともにADAS(先進自動運転システム)や自動運転になるだろう。しかし、いろいろ考えた結果、2017年をもってADASや自動運転のAIに関する取り組みを止めることを顧客企業に通達した。
MONOist 自動運転となると、注目度、ビジネス規模の面で見てもかなり大きいはずです。なぜ手を引くことにしたのでしょうか。
江川氏 これまでの当社の取り組みを通して、AIを活用した自動運転技術はかなりのレベルまで進展したと感じている。残り5%の運転精度をどう突き詰めていくかという段階で、手動運転によるヒューマンエラーの方が事故率は高いだろう。
それでも自動運転技術が引き起こした事故への責任を負えるかと問われれば、たとえ万が一の確率だったとしてもソフトウェアベンダー1社では負い切れない。以前と違って、現在はその残り5%を追い込むためプラットフォームもあり、人海戦術もとれるようになった。そういった段階の開発は当社がやるべきことではないと判断した。
MONOist 今後はどういったAIに取り組むのでしょうか。
江川氏 これから、家の中にいる人の行動や感情を認識する方向で開発を進めていく。これまでの自動運転関連の技術も転用可能だ。AIソリューション「VAIS」として既に提案を始めている。
もともと「誰にもまねできないこと」をやりたいからこそ自動運転技術に取り組んだ。VAISは人を認識するAIだが、それよりも難しいことがある。やるべきことを提案するレコメンドだ。そのために開発を進めているAIが「AIMY」。シンプルに人にサービスを提供するAIであり、VAISとAIMYによって、経済産業省が提唱する「Connected Industries」の実現が可能になると考えている。
MONOist 高度なAIとなると組み込み機器ではリソースが不足して使えません。VAISやAIMYは組み込み機器で利用できるのでしょうか。
江川氏 現在のAIの枠組みでは、IoTから集めたビッグデータを使ってクラウドで機械学習を行い、得られた推論アルゴリズムをエッジに組み込むのが一般的だ。VICEやAIMYも同じ方向性になるだろう。
ただし、エッジで人に関わるセンサーデータを取り続けると、結局のところ画像データと変わらないくらい重くなる。そこで2〜3年先を見据えてフォグ化も検討している。ユーザーの手に届くところにあるのがエッジだが、手に届かないところがフォグ。スマートホームであれば、バックエンドにある中核のゲートウェイPCなどがフォグになるだろうか。
MONOist 今後の事業目標を教えてください。
江川氏 2017年度の売上高は約5億円。2018年度は11億〜13億円になると見込んでいる。2019年度には30億円まで伸ばしたい。従業員数は現在約60人なので、売上高の伸びに合わせて採用していきたいと考えている。
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