「見る」「聞く」「話す」で産業機械を真のパートナーに、ベッコフが描く未来:ハノーバーメッセ2018(2/2 ページ)
ハノーバーメッセ2018ではその他、新たに産業用PCのラインアップを拡充。82×82×40mmというコンパクトサイズで省スペースである魅力から人気を呼んでいた産業用PC「C6015」の兄弟モデル2機種を発表した。「C6017」は「C6015」で使用している基板を2枚搭載することでインタフェースを増やしたもの。幅が増えた容量を生かしUPS機能なども組み込めるようにしたことが特徴だ。一方の「C6030」はCPU機能を強化し処理能力を高めたものとなる。132×132×67mmとサイズは大きくなるが、インテルCore iシリーズの第6世代および第7世代のCPUを搭載できるようにした。
コンパクトな産業用PCで端子数を増やした「C6017」(左端)と、CPUの機能を強化した「C6030」を新たにラインアップ(クリックで拡大)
電源と通信を1本のケーブルでまかなえることで注目されている「EtherCAT P」では、新たに対応モーターを出展した。「EtherCAT P」は、産業用オープンネットワーク「EtherCAT」の規格の1つで、従来は通信と電源で配線が2系統必要だったものを削減し省線化が実現できることから注目を集めている規格である。トヨタ自動車が工場内ネットワークでEtherCATを採用する方針を示しているがその決め手になったのも「EtherCAT P」があったからだとされている※)。
※)関連記事:トヨタが工場内ネットワークでEtherCATを全面採用、サプライヤーにも対応要請
従来は、モーター駆動のようなパワー系のソリューションは用意できていなかったが新たに対応モーターを用意することで、さらなる用途拡大を訴えていく方針である。最終的にはモーターごとの分岐が必要になるが近いところまでは1本のケーブルで通信と電源が供給できるため、産業機械内の省配線化などが可能となる利点を提供できるとしている。
EtherCAT P対応のモーターを出展。最終的にはモーターごとの分岐が必要になるが近いところまでは1本のケーブルで通信と電源が供給できるため、産業機械内の省配線化などが可能となる(クリックで拡大)
さらに、新たな通信規格である「5G」への対応で中国のHuawei Technologies(ファーウェイテクノロジーズ)と協業することも発表した。会場では5Gの通信を利用して離れた場所にあるXTSによる可動子の動きをカメラで捉えてリアルタイムで表示するデモと、可動子を人力で動かした動きを、5Gを経由して離れた場所で再現するというようなデモを行った。まずは共同実証を進めるという段階だが、新技術の適用についてさまざまなソリューションを模索していくという。
(左)下部の可動子を動かすと5Gを経由して離れた場所の可動子が同じように動くというデモを披露、(右)は可動子の動きをカメラで把握し5Gを経由してリアルタイムで表示するというデモの様子(クリックで拡大)
≫ハノーバーメッセ2018特集はこちら
- 自律ロボットで多コアIPCが活躍、ベッコフの訴える未来と現実
ベッコフオートメーションは「SCF2017/計測展2017 TOKYO」において、デンソーウェーブやエクサウィザーズなどと共同開発した「マルチモーダルAIロボット」を出展。AIやVRを活用した最新技術と制御技術の融合による自律化の価値について訴えた。
- ベッコフが防爆仕様I/Oに参入、プロセス市場開拓へ
ドイツのベッコフは、ハノーバーメッセ2017において、防爆仕様のEtherCAT I/O機器を発表。プロセス系制御分野に今後カバー領域を拡大を進めていく方針を示した。
- トヨタが工場内ネットワークでEtherCATを全面採用、サプライヤーにも対応要請
トヨタ自動車は、ハノーバーメッセ2016において、工場内の産業用ネットワークとしてEtherCATを全面採用する。既に2016年3月に国内のサプライヤーには対応を要請しているが、グローバルサプライヤーについても対応を求めていく。
- いまさら聞けない EtherCAT入門
産業用オープンネットワーク「EtherCAT(イーサキャット)」をご存じだろうか。工場などの産業用オートメーションにおいて、フィールドネットワークのオープン化が進む中、なぜEtherCATの存在感が増しているのか。誕生背景やメカニズム、活用シーンなどを詳しく解説し、その秘密に迫る。
- スマートファクトリーはエッジリッチが鮮明化、カギは「意味あるデータ」
2017年はスマートファクトリー化への取り組みが大きく加速し、実導入レベルでの動きが大きく広がった1年となった。現実的な運用と成果を考えた際にあらためて注目されたのが「エッジリッチ」「エッジヘビー」の重要性である。2018年はAIを含めたエッジ領域の強化がさらに進む見込みだ。
- スマートファクトリーがいよいよ現実解へ、期待される「見える化」の先
ドイツのインダストリー4.0がきっかけとなり関心が高まった、IoTを活用したスマートファクトリー化への動きだが、2017年は現実的成果が期待される1年となりそうだ。既に多くの実証成果が発表されているが、2017年は、実導入ベースでの成功事例が生まれることが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.