次に取得したデータを通信します。今回は有線での通信方法について説明します。まず、PLC、外付け機器、タッチパネルで取得した情報はLANケーブルを使用してイーサネット(Ethernet)で接続するのが一般的です。かつての通信速度は100Mbpsでしたが、最近は1Gbpsが主流となっています。ネットワーク機器や接続ケーブルによって対応速度が変わりますので、その点について機器選定には注意が必要です。また、1Gbpsと言っても実際の速度はかなり落ちますので通信量についてはその点の考慮も必要です。
最近では、MQTTプロトコルを機器接続に使用するケースが出ています。これは送信側が送るデータをデータ領域にいったん保持しながら、受信側の処理が完了するのを待たずに次の処理へ移る方式です。センサーから取得した細かいデータを取りあえず送り、受け取った側はデータを蓄積して順番に後続に流す方式となります。クラウドサービスはこの方式を基本採用しています。1秒間に100回以上の小まめな通信が必要な場合は、こちらの方が主流になりつつあります。
通信したデータは次の目的で処理して、データを蓄積することになります。前回も話しましたが、目的に合わせて処理するサーバを分けて考えると分かりやすくなります。
これまでは集中用のサーバの下に全ての設備から集めたデータを蓄積したり、モニターに生産状況を表示したりといった方式が主流でした。しかしその方式だと、工程が拡大した際にサーバ増強が必要となったり、サーバがダウンすると全ての工程の操業に影響を与えたりといったリスクが大きくなる欠点がありました。最近は、各工程のセグメントにデータを収集したり、モニターに生産状況を表示する機器を置いて分散処理する方式がとられたりするようになってきています。
公開用については、他部門からのアクセスにより、負荷が高くなって工場の操業に影響が出ないようにするため、工場の操業用と公開用は機器を分けるといった工夫もされています。工場の操業は、少なくとも秒単位のリアルタイム性が求められますが、公開用はそこまでのリアルタイム性は要求されません。
ただし、システム構成を設計する上で、集中方式や分散方式についてはメリット、デメリットがあるため、自社の目的に合わせて方式を決定するとよいと思います。集中式のメリットは機器類の台数が少なくなり、障害発生への対策を講じる部分が減ることです。ただし、集中した機器が故障すると全ての工程に影響が出ます。そのため、完全二重化方式をとることが多いのですが、こうするとハードウェアと信頼性確保のソフトウェアの価格が急騰します。
分散方式をとると、リーズナブルな機器類を組み合わせるため、コストを抑えつつ障害発生時の影響範囲を最小にとどめられます。逆に、管理する機器類が多くなるので、バックアップやリカバリーの考慮が大切になってきます。
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