一方、マスカスタマイゼーションのカギとされる「物理ラインの可変」を具現化したのが「コンベヤーレスライン」である。2017年の国際ロボット展で披露したが、ハノーバーメッセでも紹介した。
「コンベヤーレスライン」は、生産ラインでモノを流すコンベヤーの代わりに自動搬送車(AGV)を用いて柔軟な生産ラインを実現したもの。AGVが自由に工程間を動き回ってワークに必要な工程間を移動しながら製品を完成させていく。AGVには「屋内用モバイルロボットLDプラットフォーム」の製品群を活用。生産の一連の流れをAGVによるロボット搬送によって実現する姿を示した。
AGVに搭載されているSLAM(Simultaneously Localization and Mapping)技術により、最初にAGVを運んで空間を認知させるだけで自動で地図を作成。さらに、AGVの移動を管理するソフトなどにより同時に140台のAGVの管理などが可能で、工程間を自律的に行き交う可変ラインを実現可能としている。
既にこのAGVによる「コンベヤーレスライン」は多くの引き合いを得ているというが、臼井氏は「インダストリー4.0でのマスカスタマイゼーションの実現という理想像を、いち早く現実的な形で実現できたと考えている。ロボット事業はアデプトテクノロジーを買収してから本格化したが、もともと原型となる技術をアデプトテクノロジーは持っていた。これをオムロンの持つさまざまな製品やグローバルサポート能力を組み合わせたことで本格的に受注が拡大し始めている」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.