製造業が作るIoT製品、誰がサイバー攻撃から守るのかIoTセキュリティ(2/2 ページ)

» 2018年03月29日 11時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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企業にとってはSOCが必須に

 IoTなどの新たな環境における脅威が拡大する中で、企業にとっては個々の部門やIT部門だけで、脅威に対応するのが難しい状況が生まれている。これに対し、トレンドマイクロでは「今後の企業にとって、セキュリティに対し一元的な可視化と迅速な対応ができるセキュリティオペレーションセンター(SOC)の設置が必須となる」(チェン氏)と強調。さらに、このSOCに対して、運用を容易にし負担を軽減するツールやサービスを提供していく方針を示す。

 チェン氏は「現状のSOCは、大量のアラートにさらされ優先順位が付けられない状況が生まれている。さらに個々の脅威に対してもサイロ化されており、全体的な標的型攻撃が行われていることなどを把握するのが難しかった。さらにレスポンスが遅いなどの課題もある。これらを解決する支援を進めていく」と述べる。具体的には「XGen SOC」として、グレーのイベントに対して管理し続ける「ハンティング機能」などの強化を提案。さらに脅威情報については脅威情報構造化記述形式「STIX」による解析などに対応していく方針を示した。

photo 「Xgen SOC」に必要なもの(クリックで拡大)出典:トレンドマイクロ

 さらに現状でのSOCは企業内の情報環境を守ることを想定したものがほとんどだが「今後は自社製品がIoT化していく中で、これらの製品がユーザーのもとで行うデータのやりとりなども守ることが必要になる。社内に対したものではなく、社外に向けた『IoT SOC』の設立が必須となる」とチェン氏は強調する。これに対し、トレンドマイクロでは新たに「IoT SOC アーキテクチャ」を打ち出し、IoT SOCの構築を促進する方針である。

photo 「IoT SOC アーキテクチャ」のイメージ(クリックで拡大)出典:トレンドマイクロ

 その他、新たな通信規格「5G」のネットワークスライシング機能に対応したセキュリティなどの提案も進めていく方針を示す。

業種別では「車載」と「工場」が重点分野

 国内での取り組みとしては、従来通り「エンタープライズ」「コンシューマー」「IoT」の3つの領域で新規領域、新サービスの拡張をテーマとして取り組みを進めていく方針である。エンタープライズでは人工知能(AI)技術を用いたセキュリティソリューション「XGen」を活用した「XGen IPSビジネス」を国内で本格的に立ち上げていく計画を示す。さらに業種別の取り組みを強化するためにパートナーの開拓に引き続き取り組んでいく。

 新たな車載向けではパナソニック、工場向けでは安川電機などとの協業も発表しているが、トレンドマイクロ 取締役副社長の大三川彰彦氏は「業種別での取り組みは強化していくが、当面は今大きな動きとなりつつある工場向けのでの提案を進めていく。さらに時間軸は長いがニーズが大きい車載向けでの提案も強化する。工場向けと車載向けが重点2分野だといえる」と述べている。

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