8年ぶり刷新のプレミアムコンフォートタイヤ、静粛性の実力は乗って解説(2/3 ページ)

» 2018年03月06日 06時00分 公開
[高根英幸MONOist]

テストコースでさまざまな性能をチェック、コンパクトカーの走りも一変

定常円旋回で試したウエット性能は、従来のV551と比べワンランク上のグリップレベルを体感。実際に利用するオーナーにとっては、これは安心感が高まるハズだ(クリックして拡大)

 さて、8年ぶりのモデルチェンジは、これまでの3世代と比べ最も進化が著しいと横浜ゴムの開発陣が胸を張る。その出来栄えはどれほどのものか、テストコースと一般道で走って確かめてみた。まずはテストコースの高速周回路だ。バンクを使って時速140kmまでの高速走行を行い、静粛性とステアリングへの応答性をチェックしてみた。

 最初にステアリングを握ったのはMercedes-Benz(メルセデスベンツ)のEクラス、それもディーゼルの「E220d」だ。豊かなトルクによる加速力はもちろん、高速巡航時の静粛性もディーゼルとしてはかなり高く、Eクラスのしっかりとしたシャシー性能に見合うだけの動力性能と快適性を備えていた。そしてADVAN dBはそれらのバランスを保ったまま、車内をより上質な空間へと仕立て上げてくれた。

 続いてレクサス「LS」にも乗ってみた。とにかく静粛性の高さには定評のあるクルマだけに、静粛性を格段に高めたADVAN dBを履かせることが、このクルマの魅力をさらに引き上げてくれる。ステアリングの応答性など走りの質感はEクラスに劣るが、この静粛性に魅せられているオーナーにとっては、優先すべきはさらなる静粛性であろうから満足度は高いだろう。

 その後にトヨタ自動車「カムリ」のハイブリッドモデルにも乗ったのだが、EクラスやLSから続けて試乗すると、価格や車格から言ってそれらと比べてしまうのは少し分が悪い。それに少し残念な部分もあった。標準タイヤのバランスの良さを少し失い、ハイブリッドの安っぽいエンジン音、前後のサスペンション回りの剛性の違いが感じられるようになってしまったのだ。もちろん絶対的なグリップ力、静粛性は標準タイヤ以上であるから普通に走る分にはオーナーを十分に満足させることだろう。

 高速周回路で最後に試したトヨタ自動車「ヴェルファイア」も同様に、タイヤ自体にはまったく不満はなかった。むしろクルマが大きく、タイヤがドライバーから離れている分、タイヤの静粛性はより高く感じられる。その分、Aピラー付近から発生する風切り音が目立ってしまい、時速100kmを超えるとそちらの方ばかり耳についてしまった。

 次にウエット円旋回でウエットグリップを従来品と比較する。クルマは「クラウン ハイブリッド」だ。通常のアスファルトのウエット路のμ(摩擦係数)が0.8であるのに対し、水を張った定常円旋回路のμは0.5程度だという。その状態で、イン側のラインに沿わせてコーナリングさせ、グリップの限界とコントロール性を確かめる。従来のADVAN dB V551でも十分なウエット性能をもっていると感じたが、次いで新製品のV552を履いた同型車を走らせてみると、明らかにウエット性能が高いことに気付かされた。

 コーナリングの限界速度が5%高いだけでなく、ステアリングから伝わる手応え、すなわちグリップ感がよりしっかりと伝わってくる。これは実際のウエット走行では安心感を高めてくれるに違いない。また荷重移動を行って、リアタイヤをブレークさせても、従来品は数秒間テールスライドが止まらないのに対し、新製品は同じように走ってもすぐにリアタイヤのグリップが復活する。カタログではウエットのブレーキ距離が3%短縮されたと記載されているが、体感的にはそれ以上の性能向上を感じさせた。

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