日立製作所は、制御システムの最適なライフサイクルプランを実現する「制御システム安定稼働サービス」を販売する。将来的に「安定稼働」をサービスとして提供することを目指す。
日立製作所は2018年2月28日、社会インフラなど制御システムの最適な生涯保全計画(ライフサイクルプラン)を実現する「制御システム安定稼働サービス」の販売を同年4月2日から開始すると発表した。制御システムの運用と保守を24時間365日サポートする受け付け体制を新たに構築するとともに、日立パワーソリューションズと日立システムズと共同で駆け付けサービスなどを組み合わせて展開する。
制御システムは、産業機器や鉄道、発電プラントなど産業や社会インフラ分野の設備の安定稼働を支えているが、現行の多くの制御システムは2000年代に導入されたもので、2020年以降、保守や維持に関する対応が急増する見込みだとされている。
一方で制御システムの現場を見ると、電子部品のライフサイクルの短命化が進み、従来は10年単位の保証だったものが、3〜7年となり、保守用の部品をコストを抑えつつ確保するのが難しくなってきている。さらに、保守員の高齢化などにより技術者不足と技術伝承の課題がある。加えて、IoT(モノのインターネット)化の動きにより情報システム(IT)と制御システム(OT)の緊密な連携が必要になり、システムそのものの高度化に悩まされる状況が生まれている。
日立製作所では1910年の創業以来社会インフラの制御システムの開発や提供してきた。その中で保守についてはプロジェクトごとの事後対応で行ってきた。具体的には、システムを導入した顧客が、障害が発生した際に連絡をしてくると、プロジェクトごとの対策チームを構築。問題の切り分けや対策などを行うという形だ。
費用については障害対策後に必要経費を請求するものの、この形では「ユーザー企業がどの程度までシステムを利用しているのか」や「どういう部品がいつまでにどのくらいの量が必要になるのか」などを把握することが難しい。ユーザーがあまり使用していないシステム用の保守部品を多く抱えることになったり、よく使用しているシステムの部品は「使っていない」と思い込んであまり保有していなかったり、対応体制のミスマッチが発生していた。結果として障害発生時にユーザー企業の稼働停止時間(ダウンタイム)が長くなってしまったり、非計画的な更新などが必要になったりするケースなども多くなっているという。
日立製作所 制御プラットフォーム事業本部 副統括本部長 兼 大みか事業所長の小林毅氏は「海外では既にこうした保守サービスを契約で実施するのが一般的だが、国内では従来は保守をサービスとして個別契約する形ではなく、システム納入者がユーザーとの関係性で対応してきた歴史がある。ただ、周辺環境が変化する中、この形態では無駄が増えることが見え始めてきた。保守サービス内容を明確化しそれぞれが計画的に対応できるようにする。これにより、ユーザー企業のダウンタイム削減と生産性向上、計画保全によるコスト削減などに貢献する」と新サービスの狙いについて述べる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.