「透明性を確保しつつ現場力を発揮する」という取り組みのベースの1つとしてカギを握るのは、AI(人工知能)技術なども含む広い意味でのIoT(モノのインターネット)である。製造現場や検査の現場などでは、人手で行う作業なども多く、そもそもの作業内容や活動内容をデータ化するのが難しい。これらをデータ化し管理できるツールとして、2017年も既に、IoTに関連したさまざまなセンシング技術や分析技術が登場してきているが、さらに2018年は製品やツールの多様性も広がり、導入や実際の成果が増えてくることだろう。
センサーをどこに取り付けるのかという点や、どういう基準で分析するのかなど、製造現場や品質現場での知識が必要な場合も多いが、基本的には現場作業の支援にもつながり、同時に現場作業のデータ化にも貢献することが可能となる。これらの製造情報や検査情報などは、それぞれの階層に必要な情報を見える化するダッシュボードなどの仕組みを用いることで、経営層などからも見える化することが可能となる。問題発生時などは、共通のデータ基盤を基に、現場側と経営側が話を進められるようになり、早期の問題の抽出などにつなげられる。少なくとも「情報開示」のスピードは圧倒的に早くなるはずである。
このIoT活用を進めることで現場からデータを取得し分析することをベースとしながら、品質不正の問題を解決するために必要なのが、検査自動化の進化である。現在の製造工程などでは、各種工程検査や品質検査など、自動化がなかなか進んでいないのが検査工程である。人手面やコスト面で、検査の負担が大きいために、複数工程でまとめて検査を行ったり、抜き取り検査にしたりして対応してきた。
これらの負担を低減するとともに、品質不正の抜本的解決には、検査での自動化領域を拡張し、そのデータを自動的に共有できるような仕組みを作るということが1つの道である。現状では、基板の外観検査装置など、検査の自動化を実現する機器で市場が確立されているものも多いが、まだまだ余地は多く存在する。AIやロボットを活用することで、画像や音声などの検査もさらに広がることが想定されており、自動化領域をさらに拡張できるはずである。
製造業においてスマートファクトリー化への関心は高いが、ドイツのモノづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」などで求められている理想像は、カスタム製品を大量生産の効率で作る「マスカスタマイゼーション」である。これを実現するためには、物理的な製造ラインもフレキシブルに変動する世界が必要であり、そのためには工程内で自動化された検査工程が必須である。
スマートファクトリー化を進めるのであれば、検査自動化は避けては通れないものだといえる。既に2017年からも、AIを使った画像検査の拡張についてのニーズは非常に高まってきており、関連するツールなども徐々に出てきている。将来を視野に入れても、検査自動化への動きは2018年もさらに広がる見込みだ。
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