日立製作所は、AI(人工知能)技術を用いて、心疾患の入院患者が退院後30日以内に再入院するリスクを高精度に予測することに成功した。AIが再入院リスクの根拠を提示するとともに、患者の再入院リスクを高精度に予測できることを確認した。
日立製作所は2017年12月12日、AI(人工知能)技術を用いて、心疾患の入院患者が退院後30日以内に再入院するリスクを高精度に予測することに成功したと発表した。アメリカの医療機関Partners HealthCare(PH)と共同で効果検証を行い、AIが再入院のリスクについてその根拠を提示するとともに、患者の再入院リスクを高い精度で予測できることを確認した。
このAI技術は、高精度な予測モデルを構築するため、ディープラーニングを活用している。PHが持つ入院患者への処置、投薬、病歴などの医療情報と医療ガイドラインの情報を学習することで、退院から30日後に再入院するリスクを予測する。
日立では、ディープラーニングの学習結果を解析して、医師が理解して医療行為に反映するための判断に役立つ数十個の要素のみを抽出し、リスクを予測する技術を開発。標準的な統計解析手法によって再入院リスクと判断要素の寄与度を算出でき、高い予測精度と医師が理解できるリスク根拠の説明の両立が可能になった。
予測モデルの構築と効果検証では、2014〜2015年に入退院した約1万2000人の心疾患患者の治療内容や容体などを用いた。その結果、AUC(Area Under the Curve)約0.71という高い予測精度で評価され、実用上の目安となる70%を上回った。
さらに、AIが予測したリスクに応じて、再入院予防プログラムを適切に行った場合のシミュレーションを実施。従来の基準に比べ、最大2倍以上の患者の再入院を防止し、患者1人あたり年間約80万円の医療費を削減できる見通しが得られた。
今後両者は、入退院する患者への効果検証や医療従事者による評価を進め、医療現場への提供を目指す。日立では、今回開発したAI技術を用いて医療向けのソリューションを提供する他、健康保険事業者や製薬、救急サービスなどへの展開を図るとしている。
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