本大会で総合2位、準優勝を果たしたのが、筆者の出身校でもある芝浦工業大学です。昨年は久しぶりの一桁代、9位に入賞したSHIBA-4ですが、今年は大きくモデルチェンジしたマシン「S014」での参戦でした。チームリーダーの小林海さんとテクニカルディレクターの山下那央さんにお話をお聞きしました。
関(以下S) よろしくお願いします。実は私、1981年度の芝浦工業大学卒業生なんですよ。
小林さん(以下KK)、山下さん(以下Y) ええ〜っ! そうなんですか! 先輩、よろしくお願いします(笑)
S 今年は成績良さそうですね! エンデュランスで最終走行の1つ前ですからオートクロスでベスト4(SAE公式サイトで確認したところ3位)ですよね。安定した走りを目の前で見せていただきましたよ!
MONOistの小林(以下K) 結果の予想は付いていますか? 昨日の時点で暫定で2位と聞いていますけど。
Y 分からないですね……。でもいい線行くと思っています。
S エンデュランスで大きなミスはなかったものね、一度第1コーナーでスピンしたけど、リカバリー早かったし。昨年が9位、久しぶりの一桁ゼッケンですよね。そして今年が間違いなく上位入賞、このところの好調の要因は何だと思いますか?
Y う〜ん、何でしょうねぇ……。「みんなで、勝てると信じたこと」じゃないでしょうか。
S いいこと言うねぇ! 素晴らしい!
K ナイスコメント!
S 実はMONOistの小林さんは芝浦工大のことを随分前(2009年10月)に取材していて、廃部の危機に遭遇した時も知っているんですよ。
K こんなにメンバーが増えて……、うれしいですね! さて、今回のマシンのことを聞きましょう。
S そうですね、今年のマシンは大幅にモデルチェンジと聞いていますが?
Y とにかく「1番小さくしてやろう」と思いました。小さくしてコーナーをクルッと回るマシンを目指しました。
S じゃあ、ホイールベース、トレッドをレギュレーションぎりぎりまで詰めて、「軽量にはなるし、旋回性は上がるし」ってことですね?
Y はい、それが狙いです。
S 今部員は何人いるんですか?
Y 30人です。
S それだけいれば実働メンバーの数も確保できるよね。
Y でも、3年生が2人しかいないんですよ。後は1、2年です。その1、2年をリーダーがうまくマネジメントしてくれたことが大きいと思っています。
K 新入部員を多く集める秘訣(ひけつ)って何でしょう?
S そうそう、そこの具体的手法を教えてよ。
Y とにかく人を多く集めて、そこでリーダーが「クルマって楽しいよね、カッコいいよね。この部活はカッコいいんだよ!」ということを伝えてくれました。
S おお、クルマ好きに訴えるとは、芝浦工大らしいね!
K イベントとかやるんですか?
Y 新入生勧誘会ではいろいろ仕掛けました。
S でもいまだにキャンパスは大宮と豊洲に分かれているんでしょう? あれやりにくいよね?
Y はい、移動だけでも大変です。
K 過去の取材で、チームマネジメントに苦労していた話を聞いていたんですが、今回そこで気を付けていることは何ですか?
KK (ここでリーダー口を開いてひとこと)ピリピリしない! とにかくよろしくやってくれという雰囲気作りですね。
S お〜! いいですねぇ! 自分の名刺には「明るく楽しい現場からしか良い製品・サービスは生まれない」って書いてあるんだけど、まさにそこなんだよね。リーダーが「お前ら何やってんだよ! もっと早くやれよ!」なんて怒鳴っていたらメンバーの気持ちが沈んできちゃって絶対にいいものはできない。ましてやサークル活動なんだから金銭的メリットもない。若い人たちは辞めちゃうよね。
K おふたりが入部した時は部員の数は少なかったのですか?
Y 確か8人、それが5人になって……。でも現リーダーが新入生の勧誘をしたときに急に人数が増えたんです。そこから今の規模になりました。
S それとリンクするように成績が上がったよね?
K やはりチームの体が大きくなると、できることも増えますね。
S ありがとうございました。先輩としてもとてもうれしいです。また来年を楽しみにしています!
実際の活動はもちろんのこと、飲み会やバーベキューなどで「カッコよくて楽しい部活」を基本方針に運営をしてきた上級生、それに引っ張られるように活動をがんばった下級生。トップの正しい方針がスタッフに受け入れられ、みんなが能力を発揮する。さて、どこぞの企業経営者に聞かせてやりたいと思うのは私だけではないはずです。
10年ぶりに上位入賞、しかも準優勝を果たした芝浦工業大学SHIBA-4に大きな拍手を送ります!
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