さて、今回のトリを飾ってくれるのはトヨタ自動車大学校。その名の通りトヨタが運営する名古屋にある学校です。ICV(内燃機関)チームリーダーの安達柊平さんにお話を伺いました。
S ICVとEVの2台体勢ですね。安達さんはICVリーダーということですが、当然EVリーダーもいらっしゃるのですね。今年の成績はどうでしたか?
安達さん(以下A) はい、動的審査は完走したのですが、静的審査で思うように結果が出せませんでした。最終結果はまだ出ていませんが、昨年より大きく順位を落としました。
S そうですか……、ちょっと残念ですね。今年のマシンは昨年のものに比べてどう変わりましたか?
A フロントサスをアンユナイトからプッシュロッド方式に変え、足回りの性能が上がりました。あと、エアロデバイスを今回初めて採用しました。
S 静的審査が振るわなかったのは何が原因でした?
A コストレポートの書類に不備があり、大きくマイナス評価を受けました。
S あの千ページ近くになるやつですよね? ありゃ大変だよなぁ……、EVの成績はどうでした?
A 車検は苦労したものの何とか合格したのですが、エンデュランスでシステムトラブルが起き、リタイアとなりました。
K ICVとEVのデザインがほとんど同じですが、その意図は?
A ICVもEVもリアセクションの一部を除いて構造は一緒なんです。カウルも同じものです。ボディーカラーはもちろん統一しています。
S カウルの型は1つで、2つ成型したということですね。
A はい、そうです。フレーム班とサスペンション班はICV/EV共通のチームです。
S 設計は3Dですよね。
A はい、SOLIDWORKSで設計、解析をしています。
S 今の時点で3D-CAD/CAEを実践しているのは会社に入ってからも強みだよね。あと、リーダーさんはチームマネジメントも大変でしょ? 実は会社に入ってからはそちらの方が役に立つんだよね。技術的なことなら一人や数人でできるかもしれないけど、組織で仕事するのってマネジメント能力がいるんだよね。いい経験になると思いますよ。メンバーは全部で何人いるの?
A ICVが約10人、EVが同じく約10人、フレーム、サスペンション、ブレーキ、カウルが各6、7人です。
S 安達さんは何年生?
A 4年です。
S じゃあ、就職が決まっている状態ですね。
K 自動車大学校ということですが、就職先は自動車関連ですか?
A はい、90%くらいの卒業生がトヨタ系列のディーラーに整備士として就職します。
S そうなんですね! メカニックになるんだ。設計のできるメカニックって強いですよね!「なんだ、こんな設計してちゃダメじゃん!」って言えるもん!
今大会のトヨタ名古屋自動車大学校の総合成績はEVが68位、ICVが69位とふるいませんでしたが、来年は今年のゼッケン18番より軽くなるように健闘を祈ります!
さて、今回は4校を紹介しました。次回はどんな大学が紹介されるのか、お楽しみに!
関伸一(せき・しんいち) 関ものづくり研究所 代表
専門である機械工学および統計学を基盤として、品質向上を切り口に現場の改善を中心とした業務に携わる。ローランド ディー. ジー. では、改善業務の集大成として考案した「デジタル屋台生産システム」で、大型インクジェットプリンタなどの大規模アセンブリを完全一人完結組み立てを行い、品質/生産性/作業者のモチベーション向上を実現した。ISO9001/14001マネジメントシステムにも精通し、実務改善に寄与するマネジメントシステムの構築に精力的に取り組み、その延長線上として労働安全衛生を含むリスクマネジメントシステムの構築も成し遂げている。
現在、関ものづくり研究所 代表として現場改善のコンサルティングに従事する傍ら、各地の中小企業向けセミナー講師としても活躍。静岡大学工学部大学院客員教授として教鞭をにぎる。
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