3チーム目は昨年、エンデュランス最終レースでオーストリアのUASグラーツ工科大学との熱きバトルを演じながらも途中リタイアした京都大学です。ドライブトレイン班トランスミッション担当の長尾順さんにお聞きします。
S さぁ、強豪校。今年の結果はいかがでしたか?
長尾さん(以下N) 今年はオートクロスもエンデュランスも何とか走り切ったという状況です。マシンの完成が遅れ、十分に走り込めなかったことが要因だと思っています。
S あれ? マシンは完全にブランニューですね! エアロデバイスがコンパクトになってる。優勝した年はノンエアロ、2年前がどっかーんと大きなエアロデバイスを付けて、昨年からは小ぶりなエアロ。その変遷が面白いですね。以前のマシンとの違いは何ですか?
N はい、デザインファイナルでもプレゼンしたのですが、3カ年計画で6つの要素について開発していきます。今年についてはカーボンモノコックとシームレストランスミッションに取り組みました。シームレストランスミッションは残念ながら今年搭載できなかったのですが、引き続き開発を進めます。
S ありゃ! 京都大学と言えばあの美しいアルミパイプのスペースフレームが特徴だったのにカーボンモノコックだ!
N はい、やはりカーボンモノコックの方が軽量化できるので。
S 京都大学のマシンの進化の度合いがすごいですね。過去の実績のあるマシンを否定するかのごとく全く新しいものを作ってくる。
N そうですね。細かいところの作り込み、例えば配線などが弱いのですが……。
S でもエンジンやサスペンション周りのアルミ削り出しパーツは美しいなぁ
S シームレストランスミッションというのは具体的にはどういうものなの? ドイツ車によく使われているツインクラッチと同じ?
N いいえ、ツインクラッチはあくまで一度駆動を切ります。そのタイムラグが短いだけですが、シームレストランスミッションは駆動を切りません。アクセル全開のままタイムラグゼロで変速するというものです。
S 来年が楽しみだなぁ! 3カ年計画完了時にはまた総合優勝ですね!
3年前に総合優勝を果たし、昨年はエンデュランスの最終レースで劇的な幕切れを演じた京都大学。その時を境に全くのニューコンセプトマシンを作ってきたことには驚きを禁じえませんでした。カーボンモノコックフレームの最適化とシームレストランスミッションの完成を力強く宣言してくれた長尾さん、頼もしかったです!
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