科学技術振興機構は、哺乳動物に応用できる青色光誘導型の遺伝子発現コントロールシステムを開発した。生体外からの非侵襲的な光照射で、哺乳動物の遺伝子発現をコントロールできるようになった。
科学技術振興機構は2017年10月10日、哺乳動物に応用できる青色光誘導型の遺伝子発現コントロールシステムを開発したと発表した。従来は不可能だった哺乳動物の遺伝子発現を、生体外からの非侵襲的な光照射でコントロールできるようになった。同研究はコロンビア大学 アシスタントプロフェッサーの矢澤真幸氏の研究チームによるもので、成果は同日、英科学誌「Nucleic Acids Research」オンライン速報版に掲載された。
研究チームは、植物が花を咲かせるために必須な光受容体を哺乳動物の遺伝子発現コントロールに応用し、さまざまな分子生物学的手法を駆使して検証を進めた。その結果、従来の研究では光によって誘導される遺伝子発現量は10倍程度だったのに対し、光を短時間または弱く当てるだけで、哺乳類細胞の遺伝子発現量を最大300倍程度まで上昇させることに成功した。また、標的の細胞のみに光を照射することで、標的細胞だけで目的の遺伝子が発現することを実証した。
さらに、開発した光誘導型遺伝子発現システムをマウスの生体深部における遺伝子の光制御にも応用し、マウスの肝臓において遺伝子発現を誘導した。同技術によって、マウス個体内の組織・器官における遺伝子発現を生体外からの光照射でコントロールできることを示した。
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