第4次産業革命に向け、その実現の核であるIoTやデータ流通は実装段階に入っており、従来のICT(情報通信技術)産業の構造変化にインパクトを与え、グローバルレベルで新たなICT市場の形成や成長が期待されている。
総務省は、2008年から2015年にかけて市場シェアと輸出額シェアの推移から競争力の変化を地域別に測定する「ICT国際競争力指標」を公表してきた。今回は新たに主要10カ国・地域の企業競争力をスコア化し、総合ランクを算定した「IoT国際競争力指標」を策定している。
各市場における日本企業のシェアを見ると、IoT市場の関連項目では拡大傾向が見られる一方、ICT市場の関連項目はいずれも縮小傾向がある。世界市場の成長率と日本企業の成長率を比べた場合、特にIoT市場の関連項目において日本企業が世界市場を上回る成長を示していることが分かる。
主要国や地域の企業別にサービスと製品の市場シェアを見ると、日本企業はIoT市場の関連項目では一定のシェアを得ていることが分かる。2013年と比較して日本企業のシェアが上昇しているのは、「スマート工場」「コネクテッドカー」の2分野が挙げられる
総務省では「産業関連表によるICT投資などの効果検証」として第4次産業革命の特徴や意義を浮き彫りにするために1990年頃から2010年頃にかけての第3次業革命や情報社会における情報化について考察している。情報通信白書2017によれば、日本はICT投資やICT人材育成が遅れていると分析している。その要因として次の3点を挙げる。
日本政策投資銀行では、戦後60年間にわたり主に大企業を対象に設備投資計画調査を実施してきており、2016年度の調査の中で情報化投資の増加要因の結果をまとめている。
回答割合が最も多かった「省力化や生産効率向上」は5割程度、続く「情報セキュリティ対策強化」は3割程度であった。「IoT、ビッグデータ活用のため」という回答は1割にも満たず、IoT投資への優先順位が高くないことが分かる。さらに、IoT・ビッグデータへの対応に関する個別質問では「活用している」は1割程度、「活用を検討」は2割程度、両者の合計でも3割程度となった。2016年度の設備調査を見る限り、日本の大企業におけるIoT投資への消極姿勢が目立つ。
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