IoTでデータを価値に変換するためクリアすべき4つの課題製造ITニュース

シスコシステムズはIoT戦略について紹介。新たに製造業向けのスターターパッケージを2017年内に展開することを発表した。

» 2017年09月22日 09時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 米国Cisco Systems(以下、Cisco)の日本法人であるシスコシステムズは2017年9月21日、都内でIoTに関する戦略説明を行い、ネットワーク接続の重要性とデータプラットフォームの価値について述べるとともに、製造業向けのスターターパッケージを2017年内に展開することを発表した。

データを価値に変換する

photo Cisco IoTクラウド事業担当 バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャー ジャハンギール・モハメッド氏

 Cisco IoTクラウド事業担当 バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャー ジャハンギール・モハメッド(Jahangir Mohammed)氏は「IoTにおいて、誰もがデータを活用したい、データから価値を引き出したいという考えは持っている。データはエンドポイントに数多く存在し、それらをアプリケーションに移すことで価値に転換することができる。しかしそれは簡単ではない」と現状について述べる。

 データを価値に変換する際の課題について、モハメッド氏は以下の4つの点を挙げている。

  • デバイスの多様化で接続、セキュリティ、運用管理が複雑化
  • 多くのデータがモノの中に閉じ込められたままになっている
  • 適切なデータを適切なタイミングで適切なアプリに移動させるプログラム化された手段が存在しない
  • データのプライバシー、セキュリティ、オーナーシップを管理して徹底できるソフトウェアがない
photo エンドデバイスからデータを取得しアプリで知見を生み出しビジネス価値につなげる 出典:シスコシステムズ

 これらを解決するために、Ciscoは「IoT Network Fabric」と「IoT Data Fabric」が必要だと主張する。さらにCiscoではこれらを容易に実現するソリューションを新たに展開することを発表した。

 「IoT Network Fabric」とは、あらゆるデータを保持するデバイスをセキュアに接続できる環境を示す。産業用IoT環境では、さまざまな通信規格や通信技術などの差異を越えて、求める品質の接続を実現する必要があるが、従来はそれには個々の接続設定が必要となるなど、非常に大きな負担が存在した。これらの環境を容易に実現するためにシスコが提供するのが「Cisco Intent-Based Network」と「Cisco Jasper」を組み合わせたネットワーク環境である。

 これにより、IoTデバイスをネットワークに素早く安全に接続できリアルタイムで可視化できるる他、イーサネットやWi-Fi、セルラー、Lora、RF-Meshなど、さまざまなネットワーク通信に対応できるようにするという。

 「IoT Data Fabric」は、さまざまなデバイスに分散して存在し、さまざまなデータフォーマットで記録されているデータを一元的に集約して管理できる環境を指す。これを実現するためにCiscoが打ち出すのが「Cisco Kinetic」だ。Cisco Kineticは分散型ソフトウェアでエッジデバイスにもデータセンターにも搭載可能で、このソフトウェア同士が連携することでデータをシームレスに統合管理することが可能となる。またスモールスタートから徐々に拡張でき、IoTの適用範囲を徐々に広げたい企業には最適だとしている。

 モハメッド氏は「IoT Network FabricとIoT Data Fabricの両面を統合してパッケージとして提供できるのがCiscoの強みとなる」と述べている。

photo Cisco Kineticプラットフォームの使用イメージ(クリックで拡大)出典:シスコシステムズ

2つの製造業向けスターターキットを提供

 CiscoではこれらのIoTソリューションを「都市」「製造業」「石油・ガス」「運輸」「流通」の5分野に対し、積極的に展開する方針としている。特に日本市場では「製造業」と「都市」の2分野に重点的に取り組む方針としている。

photo Cisco インダストリープロダクトグループ ゼネラルマネジャー ブライアン・タンゼン(Bryan Tantzen)氏

 これらの業種がより容易にIoTおよびデータ活用に取り組めるようにCiscoでは、ソフトウェアおよびネットワークコンポーネントをパッケージ化した「産業用スターターソリューション」を用意。製造業向けでは年内に2つのスターターソリューションを展開する方針である。

 展開予定のスターターソリューションは1つが「エネルギー監視」で、もう1つが「状態監視」である。さらに今後は「コネクテッドマシン」とした工場内の機器や設備の接続性確保を目的としたスターターソリューションなども用意する方針である。

 Cisco インダストリープロダクトグループ ゼネラルマネジャー ブライアン・タンゼン(Bryan Tantzen)氏は「産業別のテンプレを作って、使いやすく展開できるようにしたい。インダストリー4.0などにより、国内製造業においてもIoTへの取り組みは活性化しているが、調査によるとIoT活用の成功率は26%しかないとされている。これは関係する要素やコンポーネントが複雑すぎることが要因だ。より簡単に実現できるようにすることでROIの早期化を実現し、成功率を100%に近づけたい」と述べている。

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