シスコシステムズはIoT戦略について紹介。新たに製造業向けのスターターパッケージを2017年内に展開することを発表した。
米国Cisco Systems(以下、Cisco)の日本法人であるシスコシステムズは2017年9月21日、都内でIoTに関する戦略説明を行い、ネットワーク接続の重要性とデータプラットフォームの価値について述べるとともに、製造業向けのスターターパッケージを2017年内に展開することを発表した。
Cisco IoTクラウド事業担当 バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャー ジャハンギール・モハメッド(Jahangir Mohammed)氏は「IoTにおいて、誰もがデータを活用したい、データから価値を引き出したいという考えは持っている。データはエンドポイントに数多く存在し、それらをアプリケーションに移すことで価値に転換することができる。しかしそれは簡単ではない」と現状について述べる。
データを価値に変換する際の課題について、モハメッド氏は以下の4つの点を挙げている。
これらを解決するために、Ciscoは「IoT Network Fabric」と「IoT Data Fabric」が必要だと主張する。さらにCiscoではこれらを容易に実現するソリューションを新たに展開することを発表した。
「IoT Network Fabric」とは、あらゆるデータを保持するデバイスをセキュアに接続できる環境を示す。産業用IoT環境では、さまざまな通信規格や通信技術などの差異を越えて、求める品質の接続を実現する必要があるが、従来はそれには個々の接続設定が必要となるなど、非常に大きな負担が存在した。これらの環境を容易に実現するためにシスコが提供するのが「Cisco Intent-Based Network」と「Cisco Jasper」を組み合わせたネットワーク環境である。
これにより、IoTデバイスをネットワークに素早く安全に接続できリアルタイムで可視化できるる他、イーサネットやWi-Fi、セルラー、Lora、RF-Meshなど、さまざまなネットワーク通信に対応できるようにするという。
「IoT Data Fabric」は、さまざまなデバイスに分散して存在し、さまざまなデータフォーマットで記録されているデータを一元的に集約して管理できる環境を指す。これを実現するためにCiscoが打ち出すのが「Cisco Kinetic」だ。Cisco Kineticは分散型ソフトウェアでエッジデバイスにもデータセンターにも搭載可能で、このソフトウェア同士が連携することでデータをシームレスに統合管理することが可能となる。またスモールスタートから徐々に拡張でき、IoTの適用範囲を徐々に広げたい企業には最適だとしている。
モハメッド氏は「IoT Network FabricとIoT Data Fabricの両面を統合してパッケージとして提供できるのがCiscoの強みとなる」と述べている。
CiscoではこれらのIoTソリューションを「都市」「製造業」「石油・ガス」「運輸」「流通」の5分野に対し、積極的に展開する方針としている。特に日本市場では「製造業」と「都市」の2分野に重点的に取り組む方針としている。
これらの業種がより容易にIoTおよびデータ活用に取り組めるようにCiscoでは、ソフトウェアおよびネットワークコンポーネントをパッケージ化した「産業用スターターソリューション」を用意。製造業向けでは年内に2つのスターターソリューションを展開する方針である。
展開予定のスターターソリューションは1つが「エネルギー監視」で、もう1つが「状態監視」である。さらに今後は「コネクテッドマシン」とした工場内の機器や設備の接続性確保を目的としたスターターソリューションなども用意する方針である。
Cisco インダストリープロダクトグループ ゼネラルマネジャー ブライアン・タンゼン(Bryan Tantzen)氏は「産業別のテンプレを作って、使いやすく展開できるようにしたい。インダストリー4.0などにより、国内製造業においてもIoTへの取り組みは活性化しているが、調査によるとIoT活用の成功率は26%しかないとされている。これは関係する要素やコンポーネントが複雑すぎることが要因だ。より簡単に実現できるようにすることでROIの早期化を実現し、成功率を100%に近づけたい」と述べている。
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