連載の第9回「国家間バトルはもう十分、加速する政府の枠組み作り」でも関心を示していましたが、矢面さんはドイツの「CeBIT 2017」に参加したようです。
印出さん、こんにちは。この前、話題になっていたCeBITに行ってきましたよ。
あらまあ。グーチョキパーツも出展したの?
いやあ、出展は準備が間に合わなかったんですが、社長が「政府も気合入っているから見てこい」と行かせてくれたんです。
あら、よかったわね。どうだった?
なんともいえませんね。日独首脳会談もあって政府連携はすごく進んだとか聞きましたけど、現地ではあまりよく分かりませんでした。
確かに政府間連携は進んだわね。「ハノーバー宣言」という共同声明も出たわよ。
あー、そうみたいですね。よくわからなかったんですけど、結局何が決まったんですか。
以前からあった第4次産業革命における国家連携を拡大、強化したという感じね。
「ハノーバー宣言」は、日本政府とドイツ連邦政府で、第4次産業革命に関して、新たに9項目において協力を進めていくという共同声明です※)。
※)関連記事:日独で第4次産業革命に向けた「ハノーバー宣言」採択、9項目で協力へ
日本とドイツの連携については、2015年3月にドイツ首相のアンゲラ・メルケル氏が訪日した際から本格的に始まり、2016年4月には次官級での共同声明「IoT・インダストリー4.0協力に関する共同声明」が締結されました。この時には6項目での協力において次官級での連携を示しましたが、「ハノーバー宣言」はこれを閣僚級へと引き上げた点と、9項目へと拡大したのが進んだ点だといえます。9項目については以下の通りです。
前回の連携から大きく変わった点が、自動車産業における協力を明記したことです。新たに「ハノーバー宣言」に加えて、「電動モビリティ・自動運転・コネクテッドカーなどに関する覚書」も結ばれており、充電システムや燃料電池車、自動運転などに関する協力についても進めていくことが確認されております。
さらに、CeBITでは、ドイツ連邦政府とだけでなく、欧州委員会とデータ流通経済の確立に向けた対話の強化などを含む共同声明なども発表しています※)。
※)関連記事:日欧でデータ取引市場の枠組み作りへ、推進団体の連携も
IoTを含むデジタル技術による産業革新の動きについては、さまざまな領域において、政府間の土台を早急に整備しようという狙いが明らかになっています。
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