日独で第4次産業革命に向けた「ハノーバー宣言」採択、9項目で協力へCeBIT 2017(1/2 ページ)

日本政府とドイツ連邦政府は2016年に次官級で締結した「IoT・インダストリー4.0協力に関する共同声明」を、閣僚級へと格上げし、9項目における協力を進める「ハノーバー宣言」を採択した。開催中のドイツのIT国際見本市「CeBIT」で発表した。

» 2017年03月21日 12時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 日本政府は2017年3月19日、第4次産業革命においてドイツ連邦政府と、新たに9項目において緊密な協力を進めていく「ハノーバー宣言」を採択した。2016年に発表した次官級の共同声明を閣僚級へと格上げし、より実践的で広範囲な協力を進める。開催中のドイツのIT国際見本市「CeBIT」で発表した。

第4次産業革命における9項目での協力

 日本とドイツの第4次産業革命による協力は2015年3月にドイツ首相のアンゲラ・メルケル氏が訪日した際から本格的に始まり、2016年4月には次官級での共同声明「IoT・インダストリー4.0協力に関する共同声明」が締結。「産業向けサイバーセキュリティ」「国際標準化」「規制改革」「中小企業に対するIoT支援」「IoTおよびインダストリー4.0に対する研究開発」「人材育成」の6つの項目において、協力を進めていくことが確認され、実際に具体的な活動を進めてきた※)

※)関連記事:インダストリー4.0における“世界の軸”へ、日独連携の潜在力

 「ハノーバー宣言」は、これをさらに拡大するものである。日本から経済産業大臣の世耕弘成氏、総務大臣の高市早苗氏が署名した他、ドイツからは経済エネルギー大臣のブリギッテ・ツィプリス氏が署名。官民の関係機関を巻き込んでより広範囲なIoT協力を推進していく方針である。新たに締結された協力項目は以下の9つである。

  1. IoT/インダストリー4.0に関するサイバーセキュリティ:サイバーセキュリティ関連の国際標準化に向けた議論を加速
  2. 国際標準化:IoT/インダストリー4.0に関する横断的モデルを2017年1月に日本からIEC(国際電気標準会議)に提案。国際標準化機関において、日独でこの分野の標準づくりの議論を先導
  3. 規制改革:2016年のG7情報通信大臣会合で合意されたデータ流通原則の推進、OECD(経済協力開発機構)を活用したデータ流通原則の効果測に関する協力
  4. 中小企業支援:日本とドイツのIoT活用に秀でた中小企業の相互訪問および知見の共有の継続を推進。さらに、中小IoT企業連携を両国政府が資金面で支援
  5. 研究開発:産業技術総合研究所とドイツ人工知能研究所(DFKI)の人工知能分野における協力MOUの締結。日本とドイツの企業間の共同研究開発を両国政府が資金面で支援(日本側はNEDOが実施)
  6. プラットフォーム:民間のIoT/インダストリー4.0の推進団体間の協力
  7. デジタル人材育成:モノづくりを中心とした既存従業員のデジタルスキルの習得およびスキル転換に向けた政策連携
  8. 自動車産業:自動車産業政策に関する協議の実施。充電インフラ協力に加え、自動運転やコネクテッドカーなどの議論を開始
  9. 情報通信分野の協力
photo CeBITを契機とする日独連携強化の概要(クリックで拡大)出典:経済産業省
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