セーレンは、「CeBIT 2017」において、バーチャルオーダーにより顧客それぞれが求める好みの衣料品を製造/販売するデジタルプロダクションシステム「ビスコテックス」を展示した。既に、ビスコテックスによって顧客から直接受注する店舗を国内7カ所に展開しており、2017年は海外展開を開始する計画だ。
セーレンは、国際情報通信技術見本市「CeBIT 2017」(2017年3月20〜24日、ドイツ・ハノーバー)において、バーチャルオーダーにより顧客それぞれが求める好みの衣料品を製造/販売するデジタルプロダクションシステム「ビスコテックス(Viscotecs)」を展示した。既に、ビスコテックスによって顧客から直接受注する店舗を百貨店内など国内7カ所に展開しており、2017年は海外展開を開始する計画だ。
製造業では、カスタム生産を大量生産と同じ効率で行う「マスカスタマイゼーション」を、IoT(モノのインターネット)などの活用によって実現しようという取り組みが進んでいる。ビスコテックスは、そのマスカスタマイゼーションを衣料品で実現したと言っていいシステムになっている。
まず、ビスコテックスのバーチャルオーダーシステムでは、シルエット、パターン、デザイン、カラーなどの組み合わせから顧客が好みの衣料品を発注する。その組み合わせ総数は約47万着に上る。


「ビスコテックス」のバーチャルオーダーシステム。選択した内容のバーチャル試着も可能(左、中央)。1677万色を表現できる独自開発のインクジェットプリンタで生地に色柄をプリントしたもの(右)(クリックで拡大)セーレン本社にある福井工場では、注文内容に合わせた原糸や生地の生産、色柄のプリント、裁断、縫製を行って顧客に届ける。注文は一定数のロットをまとめる必要はなく、1着だけでもよい。バーチャルオーダーによる注文内容のデータ化、CAMとの連携といったソフトウェア基盤、1677万色を表現できるインクジェットプリンタなどは自社で開発した。
ビスコテックスの強みの1つになっているのが、ウール、シルク、綿などの天然繊維、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維をはじめ対応する素材が幅広いことだ。これは、2007年に買収したカネボウの原糸製造事業によるところが大きい。「注文から、原糸、生地、プリント、裁断、縫製、製品の配送まで一貫してサービスを提供できるビスコテックスは、世界で唯一のビジネスモデルだ」(同社の説明員)という。
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