大規模IoTシステム向けの実証環境を無償で提供製造業IoT

富士通は、企業や研究機関などを対象に、大規模IoTシステム向け実証環境の無償提供を開始した。同環境にはデータの分散処理と一元管理を両立させる技術が組み込まれており、IoTシステムの開発効率が向上する。

» 2017年02月20日 09時00分 公開
[MONOist]

 富士通は2017年2月6日、IoT(モノのインターネット)システム向けのアプリケーションを開発する企業や研究機関などを対象に、大規模IoTシステム向けテストベッド(実証環境)の無償提供を開始した。今後1年間利用者を募集し、10件程度の企業や団体の利用を見込んでいる。

 テストベッドのベースとなっているのは、同社が提供するクラウド型IoTデータ活用基盤サービス「FUJITSU Cloud Service K5 IoT Platform」だ。センサーから送られる大量のデータを、自動的にクラウドとエッジコンピュータに振り分けて効率的に処理する「ダイナミックリソースコントローラー(DRC)」機能を搭載している。

 今回提供するテストベッドには、このDRCを拡充した富士通研究所の新技術「広域分散データアクセス技術」が組み込まれている。クラウドと各エッジコンピュータに分散して蓄積されるデータの、種類や所在情報のみをクラウドに集約して一元管理する技術で、データの再利用など、より効率的なデータ活用が可能になる。

 これまでのIoTシステムには、センサーからクラウドに送信されるデータが増大すると、リアルタイム処理が困難になったり、分散して蓄積されるデータの一元的な所在管理ができず、データを別の目的で再利用できないなどの課題がある。

 同テストベッドを利用することで、安定したリアルタイム処理とデータの所在管理を両立させるための仕組みづくりが不要になるため、IoTシステムの開発効率が向上する。同社では、同実証環境の提供を通じて、企業や研究機関などによる大規模IoTシステムの開発を支援するとともに、K5 IoT Platformの競争力強化を図る。

 利用については、活用状況に関する報告書を提出することで、無償利用が可能になる。既に東京大学と北海道大学が、大規模IoTシステムの基盤技術開発や実証のため、同テストベッドを活用する予定だ。

photo 「広域分散データアクセス技術」を適用した「DRC」のイメージ

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