NECは、SDN(Software Defined Networking)事業を強化し、導入や運用負担を軽減する製品やサービスを投入するとともに、工場やプラントなどの現場向けのインテグレーターとの関係性強化を図る。
NECは2017年2月9日、SDN(Software Defined Networking)事業の強化を発表。中堅、中小企業向けに製品ラインアップの拡大を図る他、工場やプラントなど現場向けのインテグレーターとの関係強化を図り、2017年度のSDN関連売上高300億円を目指す。
SDNは、ネットワークが構成する機能を、ソフトウェアで動的に制御できる仕組みである。従来のネットワーク構築では、ネットワークスイッチやハブなど多くのハードウェアが必要になっており、個々に調整が必要だった。SDNはこれらのハードウェアの機能を仮想化し、ソフトウェアで定義できることが特徴だ。ネットワーク構築時にハードウェアの個々の設定などが不要になり、遠隔地からでも一元管理できる。さらにネットワーク構成の変更や移設、拡張などが柔軟に行えるという利点を持つ。
特に製造業の領域でSDNへの関心が高まった要因として、IoTやスマートファクトリーなどの動きがある。製造業で工場内のネットワークなどに進んで投資する意欲があるところは少ない。しかし、スマート工場を実現するためには、新たに製造装置や生産ラインから取得した情報をオフィス系のシステムとも連携させて、構築していく必要がある。SDNによりIoTを活用する機器の増加などに合わせて、段階的にネットワークを拡大することが容易になる。
NEC スマートネットワーク事業部長 北風二郎氏は「SDNはあらゆる業種で採用が増加しており最も伸びているのは自治体向けで1年間で15自治体以上の採用があった。ただ、製造業向けもここ1、2年で大きく伸長している。IoTが注目を浴び始めて『工場のネットワークをどうしようか』という点に関心が増えてきた」と手応えについて述べている。
NECでは、2011年にSDN関連製品を投入した他、2014年にSDNに関する製品体系の発表を行うなど、SDNの推進に力を注いできた。現在では600システム以上の導入実績があり「新規提案の7〜8割はSDN関連」(北風氏)になっているという。導入の理由としては「主にネットワーク運用の負荷軽減とセキュリティ確保の面での採用が多かった。さらに対象も中堅以上の大企業での導入がほとんどだった」(北風氏)としている。
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