パナソニックは、2016年度第3四半期の決算について説明。同四半期単体の業績は円高ドル安の影響で減収減益となったが、通期業績見通しは現在の円安ドル高傾向を織り込んで上方修正した。トランプ政権が発足した米国では「テスラ(Tesla Motors)と進めている、二次電池やソーラー関連の事業は積極的に発展させていく」という。
パナソニックは2017年2月2日、東京都内で会見を開き、2016年度(2017年3月期)第3四半期(2016年10〜12月期)の決算について説明した。同四半期単体の業績は、売上高が前年同期比3%減の1兆8826億円、調整後営業利益※)が同12%減の1076億円、税引前利益が同3%増の974億円、当期純利益が同33%増の640億円。為替の影響で減収、調整後営業利益も減益となったものの、車載・産業向けが好調だったインダストリアル事業は増収増益、収益性が改善したテレビなどのAV事業は増益となった。
※)IFRSにおける売上高から売上高原価と、販売費および一般管理費を向上して算出した指標
一方、2016年度の通期業績見通しは上方修正した。売上高は前回予想(2016年10月末)比で1500億円増の7兆3500億円、調整後営業利益は同200億円増の3400億円、税引前利益は同200億円増の2600億円、当期純利益は同100億円増の1300億円。
円高ドル安により減収減益となった第3四半期に対して、足元の第4四半期は米国大統領にドナルド・トランプ氏の就任が決まって以降は円安ドル高に振れている。同社取締役専務の河井英明氏は「今後円高にふれたとしても、1ドル=110円を下回ることはないだろう。2016年10月末の中間決算では1ドル=100円程度で推移すると見ていたので、その為替影響だけを織り込んで通期業績見通しを上方修正した」と語る。なお、パナソニックの場合、ドル円の為替レートが1円分円安になることで、年間の売上高が350億円、営業利益が32億円増えるという。
また、米国のトランプ政権発足による影響については「当社は米国で、製販併せて約5000億円の事業規模があり、従業員は約2万人いる。テスラ(Tesla Motors)と進めている、二次電池やソーラー関連の事業は積極的に発展させていく方針に変わりはない。NAFTA(北米自由貿易協定)の見直しが話題になっているが、これまでに拠点再編を進めてきた結果として、その影響は少ないとみている」(河井氏)という。
パナソニックは、エアコン、ライティング、ハウジングシステム、インフォテインメントシステム、二次電池、パナホームの大規模6事業部とテレビ事業部を注力分野に挙げている。
2016年度第3四半期の業績では、エアコン、ライティング、ハウジングシステム、テレビの4事業部が増益となっている、着実に利益を出せる事業構造になっているとした。一方、インフォテインメントシステム、二次電池、パナホームの3事業部については「投資モード」(河井氏)であり、現在の利益よりも今後の成長のための投資に重点を置いている。
河井氏は、二次電池事業について「テスラ関連を含めて車載電池は今後も確実な需要がある状態。その需要に向けて『ギガファクトリー』の立ち上げを前倒しており、現在はその分の投資がかさんでいる。2017年度以降はこのレベルの投資は続けないだろう。ただし、二次電池にとどまらず車載関連については成長が期待できるので、そのための投資拡大は十分にあり得る」と述べている。
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