売上高10兆円の目標を撤回したパナソニック、利益体質構築に向け足場固めへ製造マネジメントニュース(1/3 ページ)

パナソニックは、2018年度の売上高目標を10兆円から8兆8000億円前後に修正するとともに「利益成長」をより重視する事業戦略を発表。「成長戦略が軌道に乗りつつある事業で確実に利益を積み重ね、そこに高い収益性が望める事業を付加して、全社として利益成長できる構造を実現する」(同社社長の津賀一宏氏)という。

» 2016年04月05日 11時00分 公開
[長町基MONOist]
パナソニックの津賀一宏氏 パナソニックの津賀一宏氏

 パナソニックは2016年3月31日、東京都内で行った事業方針説明会において、2018年度(2019年3月期)に目指していた売上高10兆円の目標を8兆8000億円前後に変更するとともに、「利益成長」をより重視したグループ目標を軸とする事業戦略を発表した。目標変更の背景には取り巻く経営環境の変化により、増収による増益の構造が構築できなかった点にあるようだ。同社社長の津賀一宏氏は「成長戦略が軌道に乗りつつある事業で確実に利益を積み重ね、そこに高い収益性が望める事業を付加して、全社として利益成長できる構造を実現していく」などと、目標に向けての筋道を示した。

2015年度の総括

 2015年度は、2014年度に中期経営計画を1年前倒しで達成して、売り上げ成長による利益創出という方向に大きく舵を切り、「持続的な成長」のステージへと向かう年だった。具体的には大規模6事業部がけん引し、戦略投資の仕込みおよび実行に取り組んだ。

 しかし2015年度の業績は、売上高目標の8兆円に対して4500億円少ない7兆5500億円(2014年度の売上高は7兆7150億円)。営業利益も目標に200億円足りない4100億円(同3819億円)を予想している。営業利益は伸長したが、結果的に「増収による増益」の構図を作ることはできなかった。一方で、合理化や構成差改善などにより、増益は確保することはできたとする。

これまでの中期経営計画における2015年度の位置付け2015年度の業績見通し これまでの中期経営計画における2015年度の位置付け(左)と実際の業績見通し(右)(クリックで拡大) 出典:パナソニック
「増収による増益」の構図を作れなかった 「増収による増益」の構図を作れなかった(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 津賀氏は2015年度について、

  1. 下方修正の主な要因である中国での市況およびICT市場低迷などの経営環境の変化への対応力に課題を残した
  2. 売り上げが伸びない中で、利益が確保できるなど経営体質が確実に強化された
  3. 具体的に将来の成長に向けた仕込みが進展した

という3点を総括として挙げた。その上で「これらの取り組みが実績となるには時間が必要となるが、増収増益に向けての成長戦略は変わらない」と述べる。

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