日産自動車は、完成車両を無人搬送するシステムを同社追浜工場(神奈川県横須賀市)に導入した。組み立て工場から専用埠頭まで私有地内の1.4kmのルートを、無人運転機能を搭載したけん引車両で輸送する。
日産自動車は2016年12月5日、完成車両を無人搬送するシステムを同社追浜工場(神奈川県横須賀市)に導入したと発表した。組み立て工場から専用埠頭(ふとう)まで私有地内の1.4kmのルートを、無人運転機能を搭載したけん引車両で輸送する。従来は1台ずつ専門のドライバーが運転していたが、同システムにより業務の合理化を図る。将来的には国内外の生産拠点への導入も検討している。
今回導入した無人搬送システム「Intelligent Vehicle Towing(インテリジェント ビークル トーイング)」は、2015年から試験的に運用を開始している。ドライバーレスの自動運転機能を搭載した同社の電気自動車「リーフ」をベースにしたけん引車両で、最大3台の完成車両を運搬できる。
けん引車両は、複数のカメラとレーザースキャナーを搭載し、白線や路肩、障害物などを検知している。センシングしたデータと、組み立て工場から専用埠頭までの地図情報を組み合わせて自車位置を推定、所定のルートを敷地内の制限速度で自動走行する。
先行車両や人に接近した場合は自動で停止し、一定以上の距離が確保されたことを検知すると自動で再発進する。けん引車両の位置や車速、駆動用バッテリーの残量などは管制センターで監視可能だ。けん引車両同士の進行ルートが交差する場合は管制センターで優先順位を決定し、緊急時にシステムを停止する遠隔操作も対応している。
2015年以降の試験運用期間には1600回の走行を実施。工場敷地内を走行中に発生するリスクに対応した安全機能やフェイルセーフ機能、天候や日照が変化しても安定して走行する信頼性を確立した。追浜工場で技術検証を重ね、他の生産拠点にも展開する計画だ。
無人搬送機はこれまでにも部品の搬送に使用されてきた。磁気テープやレールをたどって走行する仕組みで、生産工程や物流動線の変更に柔軟に対応するのが難しかった。
追浜工場は生産能力が年産24万台。リーフの他、SUV「ジューク」、コンパクトカー「キューブ」「ノート」、セダン「シルフィ」を生産している。電気自動車はガソリンエンジン車と混流生産となっており、同工場は電気自動車のマザー工場と位置付けられている。また、専用埠頭からは月間8万台を出荷できる。
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