既にドイツではインダストリー4.0のユースケースが約250以上公開されており「現時点でもインダストリー4.0対応は可能」ということがいえる。ドイツはフランスとの連携でそれぞれユースケースのオンラインマッピングを実施しており、ドイツが250、フランスが150で合計400件のスマート工場のユースケースが公開されている。
日本でもユースケースの共有を目指して取り組みが開始。現在はオンラインマッピングのβ版が公開されている。
ただ、現実的にインダストリー4.0が理想として描いている世界を実現できるのはまだ先である。「標準化への取り組みは始まったばかりである。特に異種環境を吸収するのに重要な役割を示すと見られている『アドミニストレーション・シェル』の実現は初期段階にあり、『本格的なインダストリー4.0対応』は実現できていないといえる」とザーレック氏は述べている。
インダストリー4.0における「アドミニストレーション・シェル」は、2015年に発表された「実践戦略※)」で「インダストリー4.0コンポーネント」の一環として示された、異種環境を吸収する仕組みのことだ。規格に対応していない機器でも「アドミニストレーション・シェル」をあたかもラッパーのようにかぶせることで、「インダストリー4.0規格」に準拠した通信インタフェースやデータフォーマットに対応させる構想である。このシェルは異種環境を吸収し、既存設備を活用できるようにする要となる技術だが、まだ研究が始まったばかりで商用レベルには至っていない。
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