HILSとアクチュエータいまさら聞けないHILS入門(4)(1/4 ページ)

車載システムの開発に不可欠なものとなっているHILSについて解説する本連載。今回は、前回取り上げたセンサーとともにHILSの入出力インタフェースのポイントとなるアクチュエータの回路と機能について分析し、ECU出力に対するHILSインタフェース回路の仕様について考えます。

» 2016年08月17日 10時00分 公開
[高尾英次郎MONOist]

 前回の「HILSとセンサー」から引き続き、今回はHILSの入出力インタフェースのポイントとなるアクチュエータの構造と機能について分析し、HILSの信号発生回路仕様について考えます。

発電機システムで使われているアクチュエータ

 連載第1回で取り上げたエンジン発電機システムの出力に使われるアクチュエータについての一覧を表1に、回路を図1に示します。

出力項目 内容
インジケーター 緑のインジケーターは、起動スイッチに組み込み、正常運転時に点灯する。赤のインジケーターは、停止スイッチに組み込み、停止時に点灯する。
燃料供給ポンプモーター/駆動リレー 燃料タンク内にある燃料供給ポンプ駆動用のリレーをオンオフする。
イグニッション回路 イグナイターにより高電圧パルスに増幅して、イグニッションプラグを放電させる。
インジェクター回路 インジェクターのソレノイドを励磁するための駆動パルスを出力して、燃料供給量を制御する。
スロットルモーター パルス電力を出力してモーターを正回転/逆回転させ、減速ギアを介してスロットルバルブを開閉してスロットルバルブ開度を制御する
表1 エンジン発電機システムのアクチュエータ
図1 図1 ECU出力回路とアクチュエータ(クリックで拡大)

 入力信号と同様に出力信号にもデジタル信号とアナログ信号がありますが、パルス信号出力を含めて、出力にはデジタル信号がより多く扱われます。

 本発電機システムでは、LEDインジケーター出力と燃料ポンプ用リレー駆動出力の、2種類のデジタル信号があります。それ以外のイグニッション、インジェクターおよびスロットルモーター出力はパルス信号で、イグニッションを除いてはデューティー比と呼ぶパルス幅が変化します。

 HILSは、アクチュエータ出力に対するインタフェースとして2種類の回路を備えます。1つは、アクチュエータに代わって出力信号を受ける疑似負荷回路です。この回路によってHILSは、実機に接続しているときと同様の電気的な環境をECUに提供します。多くは、抵抗を使用してアクチュエータと同程度の電流を流すように作ります。もう1つは、出力状態を検出する測定回路です。電圧をオンオフ状態やアナログ値として検出してHILSコンピュータに渡します。

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