車載システムの開発に不可欠なものとなっているHILSについて解説する本連載。今回は、HILSの入出力インタフェースのポイントとなるセンサーの構造と機能について分析し、HILSの信号発生回路仕様について考えます。
今回から次回にわたって、HILSの入出力インタフェースのポイントとなるセンサー、アクチュエータの構造と機能について分析し、HILSの信号発生回路仕様について考えます。今回取り上げるのはセンサーです。
連載第1回で取り上げたエンジン発電機システムの入出力に使われるセンサーの一覧を表1に、回路を図1に示します。
ECU入力 | 内容 |
---|---|
起動SW | エンジンの始動信号を発生する |
停止SW | エンジンの停止信号を発生する |
コントロールSW(OFF、50Hz、60Hz) | 運転モードがOFFか50Hzか60Hzかの選択信号を発生する |
エンジン回転センサー | エンジン回転数に比例する周波数のパルス信号を発生する |
スロットルポジションセンサー | スロットルポジション位置に対応するアナログ電圧信号を出力する |
エンジン水温センサー | エンジン水温に対応するアナログ電圧信号を発生する |
エンジンオイル圧SW | エンジン油圧が正常圧力のときオンする |
表1 エンジン発電機システムのセンサー |
電子制御で最も多く扱われるのは、0/1のデジタル信号です。スイッチやオン/オフ出力のセンサーはこのタイプです。0/1のデジタル信号は、ECU内部では、CPUに入力/出力される0V/5Vの電気信号として扱われます。しかし、ECU外部では、単純な0V/5Vではなく、要件に応じていろいろな電気信号となります。加えて、さまざまな物理量を表すアナログ信号があり、連続的に変化する電圧や電流やパルスなどさまざまな電気信号となります。
この発電機システムには、3種類のスイッチ、エンジン回転センサー信号のパルス回路と、スロットルポジションセンサーおよび水温センサーのアナログ電圧入力があります。
起動スイッチと停止スイッチは、同じスイッチ回路です。実回路では、オン時にバッテリー電源に接続し、オフ時はグランドに接続します。ECUへの入力は、オン時に0V、オフ時に12Vとなります。
HILSの起動スイッチ信号発生回路の一例は、図2のような回路で0V/12Vを発生します。トランジスタの出力端子は、抵抗を介して12V電源に接続します。HILSコンピュータのスイッチデータオン時には、トランジスタ入力(ベース)に5Vが加わってトランジスタをオンさせ、出力端子(コレクタ)をグランド(エミッタ)と導通させて0Vにします。スイッチデータオフ時は、トランジスタ入力を0Vとしますので、出力端子はグランドと導通せず、電源との接続が活きて12Vになります。
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