梶川 私が何にワクワクするかというと、アンバランスな印象……工場って先ほど言ったように暗い汚いって印象なんだけど、実は扉を開けるとすごいきれいだと。そういう驚き?
enmono 外は普通の工場なんだけど、入ってみるとすごいアーティスティックな。
梶川 なんか工場じゃないみたいっていうようなアンバランスな驚きと、静寂の中の博物館とか美術館とかそういうアート的な異空間が好きで……そういった空間を自社の中に作ったらなんか楽しいだろうなというのが出来ました。
enmono 工場の中にミュージアム的なものを作ると。出てきたのが――。
梶川 「富山ファクトリーアートミュージアム」です。
enmono このロゴが出てきた時に「あ、こういうのが本当にできるんだ」みたいな。
梶川 ロゴできると本当に建物とかブランド的なちょっとランクアップしたように感じます。
enmono ミュージアムの中の模様がこの下の部分ですね。建築士さんが描いた想定図ですけども、今ある工場の天井をぶち抜くみたいな形ですか?
梶川 今の天井は低いので、本当は「ぶち抜いて真ん中にらせん階段作って」とか言ってたんですけど、「構造上ぶち抜けない」って言われたので、上の天井をまず外してコンクリとか鉄筋を見せればもっと天井高くなるから、それで「塗装とかすればイメージ変わる」というのをいろいろアドバイス受けて……。
enmono 第1弾の作品として、先ほどのオブジェを作って、第2弾として今後ろにある作品を作られた、と。
梶川 本当はこれ第3弾なんですけど、このミニチュアサイズがあって、それで試作をして、それを見て1分の1スケールを作りました。
enmono 巨大ですね。これだけのものを削り出すというのはすごい。片面だけでなく裏からも削ってますね。
enmono これのオリジナルデザインというのはどこから?
梶川 「アルミの欄間を削る」っていう案がウチの社員からポンと飛び出してきたんですけど、どうも社員のおじいさんが井波彫刻(富山県南砺市の伝統産業)の欄間の彫り師だと。お爺ちゃんの家に行ったら欄間とかたくさんあるから、それをウチのスキャニングで読み取って、マシニングで加工できるんじゃないかなという案が出たんですね。
enmono 素人が考えると簡単に思えるけど、これだけ大きいものをデータとして取るとものすごい巨大なデータになりますよね。
梶川 その辺はウチとしては未知のエリアでしたね。
enmono そういう経験値も今後本業の方へ生かされていく。
梶川 生きますよね。「これできたんだから、なんでもできる」って。
enmono ちょっとこれ寄って撮っていただけますか?(下の写真) 非常に微細なものなんですが、これ最後に手加工をしてるんですか?
梶川 全部機械で削りっぱなしのものです。磨きも入れていないので。
enmono 木彫りのテイストもそのままですか?
梶川 そのままですね。
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