無償3D CAD「FreeCAD」で歯車の設計に挑戦!無償3D CADレビュー(2/4 ページ)

» 2016年07月22日 10時00分 公開
[伊藤孝宏MONOist]

 また、同じモジュールの歯車同士はかみ合い、かみ合う位置は基準円が接する箇所です。つまり、基準円径の2分の1ずつ離して歯車の中心を設定します。実際は寸法のばらつきなどがあるため、滑らかに回転させるためには軸間をこれよりも多少大きめに設定します。

 圧力角は、図4で歯面と基準円との交点と歯車中心とを結ぶ直線と、歯面の接線とが成す角度です。

図4:歯車形状と寸法

 歯面と基準円との交点を中心に90度回転させると、基準円の接線と歯面の法線とが成す角度に等しいことが分かります。つまり、回転トルクが歯面に与える力は歯面に対して圧力角だけ傾いていることになります。JIS規格では圧力角を20度に設定します。また、歯元径と歯先径には(2)式と(3)式に示した関係があります。

 歯元径=基準径−2.5×モジュール……(2)

 歯先径=基準径+2×モジュール……(3)

 1対の歯車の基準円の接点では速度は等しくなるため、歯車をIとIIとして表すと、回転速度I×基準円径I=回転速度II×基準円径IIとなります。また、同一モジュールでは基準円径は歯数に比例するため、回転速度II=回転速度I×歯数I/歯数IIとなります。例えば、2分の1に減速したい場合、歯数IIを歯数Iの2倍にします。

 基準円の接点での力は、トルクを基準円径の2分の1で割った値になり、同様にそれぞれ等しくなるため、回転トルクI/基準円径I=回転トルクII/基準円径IIとなり、同一モジュールでは、回転トルクII=回転トルクI×歯数II/歯数Iとなります。つまり、回転速度とは逆に、減速するほど回転トルクは大きくなります。歯車設計では、必要な回転速度と出力トルクから歯数の比を求めます。次に、適当なモジュールで、歯車の強度を計算し、出力トルクに耐えられるか計算し、といった作業を繰り返して寸法を決定します。今回は、3Dプリンタでホビー用に歯車を試作することを想定して、上述の詳細な設計については省略します。

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