トヨタ自動車と富士重工業は、2012年2月に共同開発したスポーツカー「86」と「BRZ」をマイナーチェンジすると発表した。パワートレイン、ボディー、サスペンション、内外装のデザインを含めて大幅な改良を加えたビッグマイナーチェンジとなる。
トヨタ自動車と富士重工業は2016年7月5日、2012年2月に発表した共同開発のスポーツカー「86」と「BRZ」をマイナーチェンジすると発表した。トヨタ自動車が86を、富士重工業がBRZを、同年8月1日に発売する。パワートレイン、ボディー、サスペンション、内外装のデザインを含めて大幅な改良を加えたビッグマイナーチェンジとなる。税込み価格は、86のMTモデルが262万3320〜318万3840円、ATモデルが264万7080〜325万800円。BRZのMTモデルが243万〜297万円、ATモデルが273万7800〜302万9400円。月間販売目標台数は86が500台、BRZが220台。
新型86は「スポーツカーとしてのさらなる深化」をキーワードに開発を進めた。より「走り」に特化した86の実現によりスポーツカーファンのさらなる獲得を目指すとしている。「ニュルブルクリンク24時間耐久レースへの参戦からフィードバックされた技術を中心に全てを見直し、何度も世界のさまざまな道で鍛え直すことで、1つ1つのアイテムをつくり込んだ。新型86は、ハンドルを握って走り出した瞬間から、その深化を誰もが実感できるクルマに仕上げている」(86開発担当チーフエンジニアの多田哲哉氏)という。
パワートレインの強化はMTモデルで図られている。排気量2.0l(リットル)の水平対向エンジンは、最高出力152kW(7000rpm)/最大トルク212Nm(6400〜6800rpm)となった。従来は最高出力147kW(7000rpm)/最大トルク205Nm(6400〜6800rpm)だったので、出力で5kW、トルクで7Nm、それぞれ3%強の向上になる
エンジンの性能向上は、吸気脈動効果最大化のためのインテークマニホールドブランチ長最適化とポート断面積の拡大、インテークマニホールド材質のアルミ化、吸気ブーツの形状変更による吸気抵抗の低減、エアクリーナーケースの大型化とエアクリーナーエレメントの変更、吸気ダクトの形状変更など、吸排気系部品を多数改良することで実現した。これらの他、エンジンブロック/軸受け部の剛性向上やピストン耐力向上のためのショットピーニング処理追加、ファイナルギア比の変更、MTの6速ギアの耐久性強化を実施した。
ATモデルの最高出力と最大トルクは従来と同じだが、MTモデルに採用した改良部品を一部共有しているという。
操舵応答性向上と静粛性向上のため、ボディーの剛性を強化した。V型タワーバー取付部の補剛、リアホイールハウス外側への補剛材追加、制振材の形状/板厚/材質の最適化などを行っている。サスペンションなどの足回りの改良も進め、コイルスプリングのバネ定数変更、ダンパー内部構造および減衰力変更、リヤスタビライザー径の変更などを実施した。
また、横滑り防止装置(ESC)の介入タイミングを最適化するとともに、サーキット走行向けの「TRACK」モードを新たに追加した。電動パワーステアリングECUのアシストマップを変更し、ヒルスタートアシスト機能も採用している。
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