イータスは、「人とくるまのテクノロジー展2016」において、制御システムのモデルベース開発で課題となっている複雑化が進むモデル構造を再設計する手法とその補助ツール「SCODE/Constraint Graph」を紹介した。
イータスは、「人とくるまのテクノロジー展2016」(2016年5月25〜27日、パシフィコ横浜)において、制御システムのモデルベース開発で課題となっている複雑化が進むモデル構造を再設計する手法とその補助ツール「SCODE/Constraint Graph」を紹介した。
現在、エンジンやトランスミッションをはじめ自動車の制御システムの開発にはモデルベース開発が広く利用されている。現場での利用が広がる一方で課題になっているのが、システム要求の高度化や複雑化、多様化によって、モデル構造の複雑化が進んでいることだ。例えば、当初設計した制御システムに、新たな仕様追加に併せてモデルやフローを加えて行くと、テキストベースのプログラミングと同様にモデルベース開発でも“スパゲッティ化”してしまう。こういった形で、当初はある程度整理されていたモデル構造の中で、制御フローとデータフローが混在した状態になっていく。
SCODEは、制御フローとデータフローが混在する複雑化した制御システムのモデル構造を解析し、「モード」とデータフローに分けて整理する手法である。整理したモードとデータフローは、補助ツールのConstraint Graphによってグラフィカルに把握することができる。
Robert Bosch(ボッシュ)のディーゼルエンジン吸排気システムの事例では、データパスが総計で109(10億)まで膨れ上がっていた状態を整理し、9つのモードにまで削減した。10億から9なので約1億分の1まで複雑性を低減できたともいえる。この効果によりテスト工数も大幅に軽減できたという。
イータスの説明員は「制御システムの設計開発の整理統合や再設計は定期的に行われる。現在は、ECUへのマルチコアプロセッサの搭載が進みつつあり、まさにそのタイミングだろう。国内の自動車メーカーやティア1サプライヤにも前向きに評価していただけている」と述べている。
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