日本でもドイツと同様に中小製造業のIoT活用や、「つながる」取り組みへの参加は大きな課題である。前編では、日本におけるスマートファクトリー関連の連携の場として、ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)や、日本機械学会での活動が母体となったIVIなどを紹介した。
RRIで、IoTによる製造業の変革について取り組んでいるのは「IoTによる製造ビジネス変革WG」だが、同WG内にもIVI内にも、中小企業のIoT活用推進を目指したグループを設置。どういう形が中小製造業にとって効果的なのか、という点を模索している。
さらに2016年4月27日に発表された産業構造審議会の中間整理である「新産業構造ビジョン」では、中小企業に対するITおよびIoT導入の支援を行う方針が盛り込まれている。この中では当面の対応案として、主に以下の点を挙げている。
この中で特に取り組みとして新しいのが「スマートものづくり応援隊」である。中小製造業のIT化の支援を行うとともに、製造現場においてIoTをどう活用すべきかという支援を行う。ドイツの「インダストリー4.0コンピテンスセンター」と同様に、これらを実践しテストできる施設を日本国内に用意する方針だ。経済産業省 製造産業局参事官室 スマートものづくり担当課長 西垣淳子氏は「まずは日本国内に5カ所設置することを目指す」と述べている。
1~2年前までは“大企業のもの”と思われてきたインダストリー4.0や製造業のIoT革新の動きだが、これらのように急速に中小製造業にも門戸が開かれつつある。実際に中小製造業に対する政府からの支援体制は、手厚いものになりつつある。日独連携の中でも相互に中小製造業を派遣し合うことなども検討されている。数年前とは異なり、中小製造業にこそインダストリー4.0でのチャンスが訪れているのかもしれない。
※【訂正】記事の掲載当初、経済産業省 製造産業局参事官室 スマートものづくり担当課長 「西垣淳子氏」の名前を「西垣敦子氏」と誤って掲載していました。お詫びして訂正いたします。上記記事は訂正済みです。
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