インダストリー4.0で具体化した日独連携、競合を越えた「つながる」の価値(前編)ハノーバーメッセ2016(2/3 ページ)

» 2016年05月13日 14時00分 公開
[三島一孝MONOist]

日独政府間で6項目での覚書を締結

 登壇した経済産業省 大臣官房審議官(製造産業局担当)の福島洋氏は、日本におけるスマートファクトリー関連の日本政府の取り組みについて説明。ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)や、IoT推進コンソーシアムなどについて紹介した。また、民間での取り組みとなるが、日本機械学会での活動が母体となったIVIとの協力関係などを説明した。

photo 日本のスマートファクトリーへの取り組み(クリックで拡大)出典:経済産業省

 さらに日独の連携について2016年4月28日に覚書(MOU)を結ぶことを発表。具体的に6項目の協力項目を定め、「産業用サイバーセキュリティ」「国際標準化」「規制改革」「中小企業に対するIoT利用の支援」「IoTおよびインダストリー4.0に関する研究開発」「人材育成」の6項目において、企業の相互派遣なども含めて具体的な取り組みを進めていくことを示した※)

※)関連記事:IoTで日独連携が成立、6項目で覚書締結へ

photo 経済産業省 大臣官房審議官(製造産業局担当)の福島洋氏

 日本とドイツの連携については、2015年3月にアンゲラ・メルケル首相が安倍晋三首相と会談し、協力を進めていく方向性で合意していたが、今回はより具体的な項目を決め、さらに企業なども含めて協力を進められる土台を作った。ドイツのインダストリー4.0の推進団体である「プラットフォーム インダストリー4.0」と、日本における製造業のIoT推進団体である「ロボット革命イニシアティブ協議会」についても合わせて連携を発表しており、協力の場作りは一気に進んだといえる。

 福島氏は「日本とドイツはGDPに占める製造業の割合が約2割と先進国の中では高い比率を占め、労働人口の問題やエネルギーコストの問題など、共通の課題を抱えている。こうした中で日独で協力してこれらの課題解決を進めていくことは大きな価値がある。インダストリー4.0の動きなどについてはドイツが日本より先行していると認識しており、ドイツに学びながら共に発展する道を作っていきたい」と述べている。

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